関係法規

最高裁判決(医療類似行為の禁止・昭和35年1月27日大法廷判決)について
弁護士佐々木弘道
平成15年9月20日作成

1事実の概要

被告人は、医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゆう師柔道整復師命法令で正式にその資格を認められたものでないのに、昭和26年9月1日から同月4日間での間前後4回にわたり、自宅等において反覆累犯の意思をもってTほか2名(1名が喘息、他の2名が胃病患者)に対し、HS式高周波器なる器具を用い、HS式無熱高周波療法と称する療法を1回1〇〇円の料金を徴して施したもので、1審は、あんま師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法(以下、あんま師等法と略称)12条?14条2項を適用し、被告人を罰金1000円(3年間執行猶予)に処した。
HS式無熱高周波療法を業とすることは憲法22条に保障されている自由な職業でありかラこの療法は全然無害でなんら公共の福祉に反しないもので被告人の行為は処罰の対象とならない旨の弁護人の主張は、1審でも斥けられていたが、弁護人は控訴趣意第一点で同旨の主張をしていた。
2審判決は、被告人の施した本件療法が、あんま師等法12条に禁止される医業類似行為に当たるとしたうえ、控訴趣意第1点につき、「右(前記)法律が之を業とすることと禁止している趣旨は、かかる行為は時に人体に危害を生ぜしめる場合もあり、たとえ積極的にそのような危害を生ぜしめないまでも、人をして正当な医療を受ける機会を失わせ、ひいて疾病の治療恢復の時期遅らせるが如き虞あり、之を自由に放任することは正常な医療の普及徹底並びに公共の保健衛生の改善向上の為望ましくないので、国民に正当な医療を享受する機会を与え、わが国の保健衛生状態の改善向上をはかることを目的とするに在ると解される、……所論職業の自由は公共の福祉に反しない範囲においてのみ認められることで、前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止した趣旨に鑑み論旨の右主張もまた理由がない」とし、弁護人の他の主張も斥け控訴を棄却した。
被告人は上告し、「被告人の業とした療法は、有効無害な療法であって公共の福祉に反しないから、これを医業類似行為として禁止している右の法条は、憲法22条に反する」旨主張した。

2 判決

破棄差戻。

「憲法22条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有することを保障している。されば、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法12条が何人も同法1条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同条に違反したものを同14条が処罰するのはこれらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであって、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律12条、14条は憲法22条に反するものではない。……原判決は被告人の業とした本件HS式無熱高周波療法が人の健康に害を及ぼす虞があるか否かの点についてはなんら判示するところがなく、ただ被告人が本件HS式無熱高周波療法を業として行った事実だけで前記法律12条に違反したものと即断したことは、右(前記)法律の解釈を誤った違法がある。」田中(耕)、下飯坂、石坂裁判官の反対意見がある。

3 憲法22条1項 職業選択の自由

(1)総説

憲法は、「何人も公共の福祉に反しない限り、(居住、移転及び)職業選択の自由を有する」(22条1項)と定める。「職業は」人の生計の維持にかかわる社会・経済的活動にして、個人がその人格の展開をはかる主要な場でもある。したがって、「職業選択の自由」は、経済活動の自由であるとはいっても、人の人格価値ないし精神生活と緊密な関係を有する「自由」であることが留意されなければならない(薬局開設の距離制限に関する最(大)判昭和50年4月30目尻集29巻4号572頁も、職業は「各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するもの」と捉える)。それ故、既に触れ、また後に述べるように、この「自由」は、精神的自由権の場合と違って政策的制約に服することがありうるとはいえ、制約の自由・趣旨に照らしその合憲性についてはなお慎重な配慮が要請される。

(2)職業選択の自由」の保障の性格と内容

「職業選択の自由」は、①職業を「選択」する自由および②職業を「遂行」する自由の両者よりなる(上述の薬局開設の距離制限に関する判決は、「職業選択の自由」は、「狭義における職業選択の自由」(職業の開始・継続?廃止の自由)と「職業活動の自由」(選択した職業活動の内容?態様における自由)の2つを含むとする。)

①の「選択」する自由は、自己が主体的に営む職業を選択する自由のみならず、自己が雇われる職業を選択する自由をも含む(学説の申には後者は27条の「勤労の権利」の問題であるとするものもある)。「職業選択の自由」を保障するとは、かかる「選択」および「遂行」につき公権力により妨げられないことを意味する。「職業選択の自由」には、営利を目的とする自主的活動の自由である「営業の自由」が含まれる。この点、「職業選択の自由」をもって、自己が主体的に営む職業を選択する自由と解し、内容的には「営業の自由」と同一視する見解もあるが、「職業選択の自由」が元来人間がそれぞれ個性を全うすべき場の確保にかかわるものであることに鑑み、そのように限定することは疑問である。したがって、「営業」は「職業」の一形態というべきであるが、職業「遂行」の自由が問題になるのは主として営業活動に関連してであって、職業「遂行」の自由は実質的には「営業の自由」と重なり合う。

資料1

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について

(昭和三五年三月三〇日)
(医発第二四七号の一)
(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

 本年一月二十七日に別紙のとおり、いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決があり、これに関し都道府県において医業類似行為業の取扱いに疑義が生じているやに聞き及んでいるが、この判決に対する当局の見解は、左記のとおりであるから通知する。

  1. この判決は、医業類似行為業、すなわち、手技、温熱、電気、光線、刺戟等の療術行為業について判示したものであって、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復の業に関しては判断していないものであるから、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復を無免許で業として行なえば、その事実をもってあん摩師等法第一条及び第十四条第一号の規定により処罰の対象となるものであると解されること。
    従って、無免許あん摩師等の取締りの方針は、従来どおりであること。なお、無届の医業類似行為業者の行なう施術には、医師法違反にわたるおそれのあるものもあるので注意すること。
  2.  判決は、前項の医業類似行為業について、禁止処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務に限局されると判示し、実際に禁止処罰を行なうには、単に業として人に施術を行なったという事実を認定するだけでなく、その施術が人の健康に害を及ぼす恐れがあることの認定が必要であるとしていること。なお、当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして禁止処罰の対象となるものと解されること。
  3.  判決は、第一項の医業類似行為業に関し、あん摩師等法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者については、判示していないものであるから、これらの業者の当該業務に関する取扱いは、従来どおりであること。

資料2

○医業類似行為に対する取扱いについて

(平成三年六月二八日)
(医事第五八号)
(各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)

 近時、多様な形態の医業類似行為又はこれと紛らわしい行為が見られるが、これらの行為に対する取扱いについては左記のとおりとするので、御了知いただくとともに、関係方面に対する周知・指導方よろしくお願いする。

1医業類似行為に対する取扱いについて

(1) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復について

 医業類似行為のうち、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第十二条及び柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第十五条により、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の免許を有する者でなければこれを行ってはならないものであるので、無免許で業としてこれらの行為を行ったものは、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十三条の五及び柔道整復師法第二十六条により処罰の対象になるものであること。

(2) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について

 あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二により同法公布の際引き続き三か月以上医業類似行為を業としていた者で、届出をした者でなければこれを行ってはならないものであること。したがって、これらの届出をしていない者については、昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の一厚生省医務局長通知で示したとおり、当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。

2 いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて

 近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未
然に防止するために必要な事項を指摘している。こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。

(1) 禁忌対象疾患の認識

 カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではないこと。

(2) 一部の危険な手技の禁止

 カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

(3) 適切な医療受療の遅延防止

 長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、潜在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。

(4) 誇大広告の規制

 カイロプラクティック療法に関して行われている誇大広告、とりわけがんの治癒等医学的有効性をうたった広告については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二第二項において準用する第七条第一項又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条第一項に基づく規制の対象となるものであること。

資料3

昭和35年1月27日の最高裁判所判決
昭和29(あ)2990あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反

判示事項

一 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条により禁止処罰される医業類似行為
二 右第一二条、第一四条の合憲性

要旨

一 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第一二条、第一四条が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない。
二 右のような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記第一二条、第一四条は憲法第二二条に反するものではない。

参照法条

 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法12条,あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法14条,憲法22条

主文

原判決を破棄する。
本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理 由

 被告人の上告趣意について。
論旨は、被告人の業としたHS式無熱高周波療法が、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法にいう医業類似行為として同法の適用を受け禁止されるものであるならば、同法は憲法二二条に違反する無効な法律であるから、かかる法律により被告人を処罰することはできない。本件HS式無熱高周波療法は有効無害の療法であつて公共の福祉に反しないので、これを禁止する右法律は違憲であり、被告人の所為は罪とならないものであるというに帰する。
憲法二二条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有することを保障している。されば、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法一二条が何人も同法一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同条に違反した者を同一四条が処罰するのは、これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであつて、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律一二条、一四条は憲法二二条に反するものではない。しかるに、原審弁護人の本件HS式無熱高周波療法はいささかも人体に危害を与えず、また保健衛生上なんら悪影響がないのであるから、これが施行を業とするのは少しも公共の福祉に反せず従つて憲法二二条によつて保障された職業選択の自由に属するとの控訴趣意に対し、原判決は被告人の業とした本件HS式無熱高周波療法が人の健康に害を及ぼす虞があるか否かの点についてはなんら判示するところがなく、ただ被告人が本件HS式無熱高周波療法を業として行つた事実だけで前記法律一二条に違反したものと即断したこと、右法律の解釈を誤つた違法があるか理由不備の違法があり、右の違法は判決に影響を及ぼすものと認められるので、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものというべきである。
よつて、刑訴四一一条一号、四一三条前段に従い、主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫、同石坂修一の後記反対意見ある
ほか、裁判官全員の一致した意見によるものである。
裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫の反対意見は次の通りである。
われわれは、医業類似行為を業とすることの法律による処罰が、「人の健康に害
を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨」のものとする多数意見の解釈に賛成す
ることができない。人の健康に害を及ぼす虞れがあるかないかは、療治をうける対
象たる「人」の如何によつてちがつてくる。またそれは療治の実施の「方法」の如
何にもかかつている。従つて有害無害は一概に判断できない場合がはなはだ多い。
この故に法律は医業類似行為が一般的に人の健康に害を及ぼす虞れのあるものとい
う想定の下にこの種の行為を画一的に禁止したものである。個々の場合に無害な行
為といえども取締の対象になることがあるのは、公共の福祉の要請からして、やむ
を得ない。かような画一性は法の特色とするところである。
要するに本件のような場合に有害の虞れの有無の認定は不必要である。いわんや
法律の趣旨は原判決や石坂裁判官の反対意見にのべられているような、他の理由を
もふくんでいるにおいておや。つまり無害の行為についても他の弊害が存するにお
いておや。
以上の理由からしてわれわれは本件上告を理由がないものとし、棄却すべきもの
と考える。
裁判官石坂修一の反対意見は次の通りである。
私は、多数意見の結論に賛同できない。
原審の判示する所は、必ずしも分明であるとはいえないけれども、原審挙示の証
拠とその判文とを相俟つときは、原審は、被告人が、HS式高周波器といふ器具を
用ひ、料金を徴して、HS式無熱高周波療法と称する治療法を施したこと、即ち右
施術を業として行つたこと、HS式無熱高周波療法は、電気理論を応用して、単な
る健康維持増進のためのみならず、疾病治療のためにも行はれ、少くとも右HS式
無熱高周波療法が、これに使用せられる器具の製作者、施術者並に被施術者の間で
は、殆んど凡ての疾病に顕著な治療効果があると信ぜられて居ること及び右治療法
が、HS式高周波器により二枚の導子を以つて患部を挟み、電流を人体に透射する
ものであることを認定して居るものと理解し得られる。
かゝる治療方法は、健康情態良好なる人にとりては格別、違和ある人、或は疾病
患者に、違和情態、疾病の種類、その程度の如何によつては、悪影響のないことを
到底保し難い。それのみならず、疾病、その程度、治療、恢復期等につき兎角安易
なる希望を持ち易い患者の心理傾向上、殊に何等かの影響あるが如く感ぜられる場
合、本件の如き治療法に依頼すること甚しきに過ぎ、正常なる医療を受ける機会、
ひいては医療の適期を失い、恢復時を遅延する等の危険少なしとせざるべく、人の
健康、公共衛生に害を及ぼす虞も亦あるものといはねばならない。(記録に徴して
も、HS式高周波器より高周波電流を人体に透射した場合、人体の透射局所内に微
量の温熱の発生を見るのであつて、健常人に対し透射時間の短いとき以外、生理的
に無影響とはいえない。)
されば、HS式無熱高周波療法を、健康の維持増進に止まらないで、疾病治療の
ために使用するが如きことは、何事にも利弊相伴う実情よりして、人体、及びその
疾病、これに対する診断並に治療についての知識と、これを使用する技術が十分で
なければ、人の保健、公共衛生上必ずしも良好なる結果を招くものとはいえない。
したがつて、前記高周波器を使用する右無熱高周波療法を業とする行為は、遽に所
論の如く、公共の福祉に貢献こそすれ、決してこれに反しないものであるとなし得
ない。
而してあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法が、かゝる医業類似行為を
資格なくして業として行ふことを禁止して居る所以は、これを自由に放置すること
は、前述の如く、人の健康、公共衛生に有効無害であるとの保障もなく、正常なる
医療を受ける機会を失はしめる虞があつて、正常なる医療行為の普及徹底並に公共
衛生の改善向上のため望ましくないので、わが国の保健衛生状態の改善向上をはか
ると共に、国民各々に正常なる医療を享受する機会を広く与へる目的に出たものと
解するのが相当である。
したがつて原判示の如き器具を使用して、原判示の如き医業類似行為を業とすることを禁止する本法は、公共の福祉のため、必要とするのであつて、職業選択の自由を不当に制限したとはいえないのであるから、これを憲法違反であるとは断じ得ない。単に治療に使用する器具の物理的効果のみに着眼し、その有効無害であることを理由として、これを利用する医業類似の行為を業とすることを放置すべしとする見解には組し得ない。
原判示は以上と同趣旨に出で居るのであるからこれを維持すべきものであると考へる。
検察官 安平政吉公判出席。

昭和三五年一月二七日

最高裁判所大法廷

裁判長裁判官 田 中 耕 太 郎

裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 島 保
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 河 村 大 助
裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 高 木 常 七
裁判官 石 坂 修 一

資料4

元千葉地裁所長の解説
国が、国民の健康、道徳、安全、公衆の便宜、公共の利益を増進するため必要な規制をする権限を有し、この規制は、立法、行政の過程を通じて具現化される。この国の権能は、警察権能(PolicePower)?と呼ばれている。無資格者が業として医業類似行為をすることを禁ずる、あん摩師等法21条の規定が、この警察権能の行使であり、この禁止により、憲法22条の職業選択の自由が規制されていることは疑いない。憲法22条・は、公共の福祉に反する場合、職業選択の自由が制約されうることを明文をもって定めている。この判決は、後に触れる反対意見を含めて、どのような社会的事実がある場合に、公共の福祉に反するといえるのかについて具体的に述べているから、公共の福祉とは、どんなことを意味するか、それが、憲法訴訟の中でどのような形で問題となるかを理解するうえに、有用な判決と.いえよう。法がある行為を禁止するのは、その禁止される行為が野放しにされる場合に生ずる弊害を未然に防止するためにである。そこで、ある行為を禁止すみ法律の立法過程では、その行為が野放しにされる場合、かくかくの弊害が生ずるという事実(2)(この事実は、社会一般の現象として一群の事件の中に起こる事実で、立法府が立法の資料として収集認定するものであるので、立法事実と呼称される)の認定が、立法者によりなされ、この弊害に対処するための手段を具現化する法律を作るわけである。そこで、法を違憲と攻撃するものが、禁止される行為を野放しにしてもなんらの弊害もそもそも生じないという事実を裁判所に示したとすると、その禁止規定は立法の必要性についての合理的基礎を欠き、違憲のものという判断がなされることになる。法の憲法上の効力を争う、もう一つの方法は、立法目的達成のため必要な限度を超え、本来規制することが憲法上許されない種類の行為をも、その法律が禁止しているから、法目的達成の.ため採られた手段が、不合理であり、本来禁止することが憲法的に許されない種類の行為を禁止している限度で、法が違憲であると攻撃する方法である。本件被告人が、上告趣意中で主張しているのは、この後者の違憲の主張である。本件の多数意見は、医業類似行為中には、人の健康に有害なものと、無害なものとがあり、無害なものは、合憲的に規制できないという前提に立ち、「禁止されているのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限定される」という制限解釈を採って、違憲判断を回避している(3)〇多数意見は、医業類似の治療に用いられた本件器具の物理的効果の有害?無害の点をさらに審理させるため、差し戻したわけであるが、田中(耕)?下飯坂両裁判官の反対意見は、「人の健康に害を及ぼす虞の有無は、療治を受ける人如何、療治の実の方法如何にかかり、一概に判断できない場合が多い」こと?とのことであるが、常識的に考えても、無資格者の行なう医業類似行為に、右の反対意見の指摘する、相対的有害性がないとは考えられない。はたせるかな、本件の差戻審は、本件療法が有益な場合もあるが、被療者の体質、病状または使用方法のいかんにより、相対的に有害な場合のあることを認定している(5) 〇立法の過程で、立法者が、ある行為を野放しにしたとき生ずる虞れのある弊害について必ずその認定をしているわけであるが、認定される弊害は、必ずしも一個のものに限られるわけではなく、数個の場合もある。わが国の現状では、立法時の公の資料、とくに、両院の委員会会議録をみると、どのような弊害の認定に立って法が立法されたかがわかる。あん摩師等法立法に当たり、衆議院厚生委員会で、久下説明員(厚生事務官)は、「従来、医業類似行為を身体に行いますと、それ自身によって、害を生じないかどうかは検討されていたが、積極的な治療効果ということについては、必ずしも厳密に検討されていない。医学の素養のない人が、万病にきくような広告をしているが、多くの場合その効果は否定しなければならない。一般の人が、医業類似行為を信用して施術をうけても、病気が治らない場合が起るという消極的弊害が、ないとは言えない場合が少くない」(6)という趣旨の説明をしている。無害な医業類似行為が、有効であるとは限らないのであり.、むしろ、その効用が否定される場合のほうが多く、効用のないものをあると信じ、これにかかっている間に、病気が悪化することもありうるという消極的弊害の存在が、右の公の記録中にうかがわれるのであるにも拘わらず、この消極的弊害について、多数意見がなんら言及せず、単に、人の健康に有害か無害かのみを問題にしていることは、理解し難いところである。石坂裁判官の反対意見は、「医業類似行為を資格なくして業として行うことを禁止している所以は、これを自由に放置することは、人の健康、公共衛生に有効無害であるとの保障もなく、正常なる医療を受ける機会を失わしめる虞があって、正常なる医療行為の普及徹底並に公共衛生の改善向上のため望ましくないので、わが国の保健衛生状態の改善向上をはかると共に、国民各々に正常なる医療を享受する機会を広く与える目的に出たものと解するのが相当であり、右(上記)12条は、公共の福祉のため、必要なもので、職業選択の自由を不当に制限したものとはいえない」とされる。この意見は、先に引用した本件の原審判決と同様、立法時の公の資料にあらわれた積極?消極の弊害につき、十分の考慮を払った意見であり、正論である?。無資格者による医業類似行為を放任することにより積極?消極の弊害が発生することが認められるという場合、その弊害の発生は、一群の事件の中で一般的に起こるという性質のものであり、その一群の事件のすべてに例外なく起こるという性質のものでは必ずしもない。しかし、一群の事件の中で、一般的に起こると信ぜられても無理からぬ程度の蓋然性のある出来事である場合、立法府は、放任すれば弊害の生ずる虞れある行為(たとえば、無資格者による医業類似行為>を、概括的に一律にすべて禁止することができるのであり、表現の自由等のいわゆる優越的自由権への制限が問題となっている場合(8)は格別、経済的自由権の制約が問題となっている場合には、例外的場合に弊害の生じないことならびに自己の行為の場合がその例外的場合に当たることを理由に、その禁止を免れることはできないと解せられる(9)。これが、最高裁判所の判例の趨勢と見受けられるから、本件の判決は、むしろ、例外的な判例と評されてよいと思われる。

(注)(1)高原賢治「アメリカにおける『警察権能』の理論の展開(一)(二) 」国家学会雑誌74巻9 ・10合併号458頁、2・21合併号558頁。「自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置」という用語が、大法廷判決昭和50・4・30民集29巻4号572頁→本書74事件の判例にあらわれている。(2)時國康夫「憲法事案」法曹時報15巻5号22頁、江橋崇「立法事実論」講座憲法訴訟2の69頁。(3)時國康夫「合憲解釈のアプローチ(上)(下)」ジュリスト3265号81頁、327号93頁。(4)田原義衛・最高裁判所判例解説刑事篇昭和35年度15頁。(5)本件の再上告につき、―小決昭和39・5・7刑集18巻4号144頁。参照として、差戻審判決が収録されている同号159頁。(6)第一回国会衆議院厚生委員会会議録37号(昭和22年12月5日付)。(7)時國康夫「憲法訴訟の方法と技術」公法研究31号39頁・ 41頁、同「憲法訴訟の方法と憲法判断の手法」ジュリスト638号221頁228頁。(8)二小判昭和27・8・29刑集6巻8号1053頁。(9)大法廷判決昭和36・2・15刑集15巻2号347頁→本書40事件、大法廷判決昭和40-7-14刑集19巻5号554頁、芦部信喜・憲法訴訟の理論187頁

千葉地裁所長時國康夫

資料5

○あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律

(昭和二十二年十二月二十日)
(法律第二百十七号)

第一回特別国会
片山内閣
あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法をここに公布する。

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律
(昭二六法一一六・昭三九法一二〇・昭四五法一九・改称)

第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
(昭三〇法一六一・昭三九法一二〇・昭四五法一九・一部改正)

第二条 免許は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。

一 厚生労働大臣 あん摩マツサージ指圧師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びはり師の養成施設、あん摩マツサージ指圧師及びきゆう師の養成施設又はあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設

二 都道府県知事 はり師の養成施設、きゆう師の養成施設又ははり師及びきゆう師の養成施設

② 前項の認定を申請するには、申請書に、教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を記載した書類を添付して、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、これを文部科学大臣、厚生労働大臣又は養成施設の所在地の都道府県知事に提出しなければならない。

③ 第一項の学校又は養成施設の設置者は、前項に規定する事項のうち教育課程、生徒の定員その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、文部科学省令・厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣、厚生労働大臣又は同項の都道府県知事の承認を受けなければならない。

④ 文部科学大臣又は厚生労働大臣は、第一項に規定する基準を定めようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

⑤ 厚生労働大臣は、厚生労働省に置くあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師試験委員(次項において「試験委員」という。)に、試験の問題の作成及び採点を行わせる。

⑥ 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。

⑦ 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。

⑧ 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。

⑨ 厚生労働大臣は、試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。

⑩ 厚生労働大臣は、前項の規定による処分を受けた者について、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

(昭二六法一一六・昭二八法三・昭二八法二一三・昭三九法一二〇・昭四五法一九・昭五七法六九・昭六三法七一・平三法二五・平一一法一六〇・平一三法一〇五・平一九法九六・平二一法二〇・平二六法五一・一部改正)

第三条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

一 心身の障害によりあん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

三 罰金以上の刑に処せられた者

四 前号に該当する者を除くほか、第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

(昭四五法一九・全改、平一三法八七・一部改正)

第三条の二 厚生労働省にあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿及びきゆう師名簿を備え、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師(以下「施術者」という。)の免許に関する事項を登録する。

(昭五七法六九・全改、昭六三法七一・旧第三条の三繰上・一部改正、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の三 免許は、試験に合格した者の申請により、あん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿に登録することによつて行う。

② 厚生労働大臣は、免許を与えたときは、あん摩マツサージ指圧師免許証、はり師免許証又はきゆう師免許証(以下「免許証」という。)を交付する。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・平一三法八七・一部改正)

第三条の三の二 厚生労働大臣は、免許を申請した者について、第三条第一号に掲げる者に該当すると認め、同条の規定により免許を与えないこととするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知し、その求めがあつたときは、厚生労働大臣の指定する職員にその意見を聴取させなければならない。
(平一三法八七・追加)

第三条の四 厚生労働大臣は、厚生労働省令の定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。

② 指定試験機関の指定は、厚生労働省令の定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。

③ 厚生労働大臣は、他に指定を受けた者がなく、かつ、前項の申請が次の各号に掲げる要件を満たしていると認めるときでなければ、指定試験機関の指定をしてはならない。

一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が、試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。

二 前号の試験事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。

④ 厚生労働大臣は、第二項の申請が次の各号のいずれかに該当するときは、指定試験機関の指定をしてはならない。

一 申請者が、一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。

二 申請者が、その行う試験事務以外の業務により試験事務を公正に実施することができないおそれがあること。

三 申請者が、第三条の十七の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。

四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。

イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者

ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・平一八法五〇・一部改正)

第三条の五 指定試験機関の役員の選任及び解任は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

② 厚生労働大臣は、指定試験機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第三条の七第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の六 指定試験機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後遅滞なく)、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

② 指定試験機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の七 指定試験機関は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下「試験事務規程」という。)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

② 試験事務規程で定めるべき事項は、厚生労働省令で定める。

③ 厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、指定試験機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の八 指定試験機関は、試験の問題の作成及び採点をあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師試験委員(次項から第四項まで、次条及び第三条の十一第一項において「試験委員」という。)に行わせなければならない。

② 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、厚生労働省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。

③ 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があつたときも、同様とする。

④ 第三条の五第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の九 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(昭六三法七一・追加)

第三条の十 指定試験機関が試験事務を行う場合において、指定試験機関は、試験に関して不正の行為があつたときは、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させることができる。

② 前項に定めるもののほか、指定試験機関が試験事務を行う場合における第二条第七項、第九項及び第十項の適用については、同条第七項中「国」とあるのは「指定試験機関」と、同条第九項中「その受験を停止させ、又はその試験」とあるのは「その試験」と、同条第十項中「前項」とあるのは「前項又は第三条の十第一項」とする。

③ 前項の規定により読み替えて適用する第二条第七項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十一 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

② 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(昭六三法七一・追加)

第三条の十二 指定試験機関は、厚生労働省令の定めるところにより、試験事務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十三 厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十四 厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、厚生労働省令の定めるところにより、指定試験機関に対し、報告をさせることができる。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十五 厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定試験機関の事務所に立ち入り、指定試験機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

② 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

③ 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十六 指定試験機関は、厚生労働大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十七 厚生労働大臣は、指定試験機関が第三条の四第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。

② 厚生労働大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第三条の四第三項各号に掲げる要件を満たさなくなつたと認めるとき。

二 第三条の五第二項(第三条の八第四項において準用する場合を含む。)、第三条の七第三項又は第三条の十三の規定による命令に違反したとき。

三 第三条の六、第三条の八第一項から第三項まで又は前条の規定に違反したとき。

四 第三条の七第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行つたとき。

五 次条第一項の条件に違反したとき。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の十八 第三条の四第一項、第三条の五第一項、第三条の六第一項、第三条の七第一項又は第三条の十六の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

② 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(昭六三法七一・追加)

第三条の十九 削除
(平五法八九)

第三条の二十 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、厚生労働大臣に対し、審査請求をすることができる。この場合において、厚生労働大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・平二六法六九・一部改正)

第三条の二十一 厚生労働大臣は、指定試験機関の指定をしたときは、試験事務を行わないものとする。

② 厚生労働大臣は、指定試験機関が第三条の十六の規定による許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、第三条の十七第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の二十二 厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

一 第三条の四第一項の規定による指定をしたとき。

二 第三条の十六の規定による許可をしたとき。

三 第三条の十七の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。

四 前条第二項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の二十三 厚生労働大臣は、厚生労働省令の定めるところにより、その指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の登録の実施等に関する事務(以下「登録事務」という。)を行わせることができる。

② 指定登録機関の指定は、厚生労働省令の定めるところにより、登録事務を行おうとする者の申請により行う。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の二十四 指定登録機関が登録事務を行う場合における第三条の二及び第三条の三第二項の規定の適用については、第三条の二中「厚生労働省」とあるのは「指定登録機関」と、第三条の三第二項中「厚生労働大臣は、」とあるのは「厚生労働大臣が」と、「あん摩マツサージ指圧師免許証、はり師免許証又はきゆう師免許証(以下「免許証」という。)」とあるのは「指定登録機関は、あん摩マツサージ指圧師免許証明書、はり師免許証明書又はきゆう師免許証明書」とする。

② 指定登録機関が登録事務を行う場合において、あん摩マツサージ指圧師、はり師若しくはきゆう師の登録又は免許証若しくはあん摩マツサージ指圧師免許証明書、はり師免許証明書若しくはきゆう師免許証明書(以下「免許証明書」という。)の記載事項の変更若しくは再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を指定登録機関に納付しなければならない。

③ 前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。
(昭六三法七一・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第三条の二十五 第三条の四第三項及び第四項、第三条の五から第三条の七まで、第三条の十一から第三条の十八まで並びに第三条の二十から第三条の二十二までの規定は、指定登録機関について準用する。この場合において、これらの規定中「試験事務」とあるのは「登録事務」と、「試験事務規程」とあるのは「登録事務規程」と、第三条の四第三項中「前項」とあり、及び同条第四項各号列記以外の部分中「第二項」とあるのは「第三条の二十三第二項」と、第三条の十一第一項中「職員(試験委員を含む。次項において同じ。)」とあるのは「職員」と、第三条の十七第二項第二号中「第三条の五第二項(第三条の八第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第三条の五第二項」と、同項第三号中「、第三条の八第一項から第三項まで又は前条」とあるのは「又は前条」と、第三条の十八第一項及び第三条の二十二第一号中「第三条の四第一項」とあるのは「第三条の二十三第一項」と読み替えるものとする。
(昭六三法七一・追加、平五法八九・一部改正)

第四条 施術者は、外科手術を行い、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてはならない。
(昭三九法一二〇・昭四五法一九・一部改正)

第五条 あん摩マツサージ指圧師は、医師の同意を得た場合の外、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。
(昭三九法一二〇・昭四五法一九・一部改正)

第六条 はり師は、はりを施そうとするときは、はり、手指及び施術の局部を消毒しなければならない。

第七条 あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。

一 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所

二 第一条に規定する業務の種類

三 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項

四 施術日又は施術時間

五 その他厚生労働大臣が指定する事項

② 前項第一号乃至第三号に掲げる事項について広告をする場合にも、その内容は、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。
(昭二六法一一六・全改、昭三九法一二〇・昭四五法一九・平一一法一六〇・一部改正)

第七条の二 施術者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。施術者でなくなつた後においても、同様とする。
(昭六三法七一・追加)

第八条 都道府県知事(地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区にあつては、市長又は区長。第十二条の三及び第十三条の二を除き、以下同じ。)は、衛生上害を生ずるおそれがあると認めるときは、施術者に対し、その業務に関して必要な指示をすることができる。

② 医師の団体は、前項の指示に関して、都道府県知事に、意見を述べることができる。
(昭六三法七一・平六法八四・平一一法八七・一部改正)

第九条 施術者が、第三条各号の一に掲げる者に該当するときは、厚生労働大臣は期間を定めてその業務を停止し、又はその免許を取り消すことができる。

② 前項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えることが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。
(昭四五法一九・昭六三法七一・平五法八九・平一一法一六〇・一部改正)

第九条の二 施術所を開設した者は、開設後十日以内に、開設の場所、業務に従事する施術者の氏名その他厚生労働省令で定める事項を施術所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。その届出事項に変更を生じたときも、同様とする。

② 施術所の開設者は、その施術所を休止し、又は廃止したときは、その日から十日以内に、その旨を前項の都道府県知事に届け出なければならない。休止した施術所を再開したときも、同様とする。
(昭四五法一九・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第九条の三 専ら出張のみによつてその業務に従事する施術者は、その業務を開始したときは、その旨を住所地の都道府県知事に届け出なければならない。その業務を休止し、若しくは廃止したとき又は休止した業務を再開したときも、同様とする。
(平一一法八七・追加)

第九条の四 施術者は、その住所地(当該施術者が施術所の開設者又は勤務者である場合にあつては、その施術所の所在地。以下この条において同じ。)が保健所を設置する市又は特別区の区域内にある場合にあつては当該保健所を設置する市又は特別区の区域外に、その他の場合にあつてはその住所地が属する都道府県(当該都道府県の区域内の保健所を設置する市又は特別区の区域を除く。)の区域外に滞在して業務を行おうとするときは、あらかじめ、業務を行う場所、施術者の氏名その他厚生労働省令で定める事項を、滞在して業務を行おうとする地の都道府県知事に届け出なければならない。
(平一一法八七・追加、平一一法一六〇・一部改正)

第九条の五 施術所の構造設備は、厚生労働省令で定める基準に適合したものでなければならない。

② 施術所の開設者は、その施術所につき、厚生労働省令で定める衛生上必要な措置を講じなければならない。
(昭四五法一九・追加、平一一法八七・旧第九条の三繰下、平一一法一六〇・一部改正)

第十条 都道府県知事は、施術者若しくは施術所の開設者から必要な報告を提出させ、又は当該職員にその施術所に臨検し、その構造設備若しくは前条第二項の規定による衛生上の措置の実施状況を検査させることができる。

② 前項の規定によつて臨検検査をする当該職員は、その身分を示す証票を携帯しなければならない。

③ 第一項の規定による臨検検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(昭二五法二六・昭四五法一九・平六法八四・一部改正)

第十一条 この法律に規定するもののほか、学校又は養成施設の認定の取消しその他認定に関して必要な事項は政令で、試験科目、受験手続その他試験に関して必要な事項、免許の申請、免許証又は免許証明書の交付、書換え交付、再交付、返納及び提出並びにあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿及びきゆう師名簿の登録、訂正及び消除に関して必要な事項並びに指定試験機関及びその行う試験事務並びに試験事務の引継ぎ並びに指定登録機関及びその行う登録事務並びに登録事務の引継ぎに関して必要な事項は厚生労働省令でこれを定める。

② 都道府県知事は、施術所の構造設備が第九条の五第一項の基準に適合していないと認めるとき、又は施術所につき同条第二項の衛生上の措置が講じられていないと認めるときは、その開設者に対し、期間を定めて、その施術所の全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又はその構造設備を改善し、若しくは衛生上必要な措置を講ずべき旨を命ずることができる。
(昭二八法二一三・昭三九法一二〇・昭四五法一九・昭五七法六九・昭六三法七一・平一一法八七・平一一法一六〇・一部改正)

第十二条 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。
(昭四五法一九・一部改正)

第十二条の二 この法律の公布の際引き続き三箇月以上第一条に掲げるもの以外の医業類似行為を業としていた者であつて、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律(昭和三十九年法律第百二十号。以下一部改正法律という。)による改正前の第十九条第一項の規定による届出をしていたものは、前条の規定にかかわらず、当該医業類似行為を業とすることができる。ただし、その者が第一条に規定する免許(柔道整復師の免許を含む。)を有する場合は、この限りでない。

② 第四条、第七条から第八条まで及び第九条の二から第十一条までの規定は、前項に規定する者又はその施術所について準用する。この場合において、第八条第一項中「都道府県知事(地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)又は特別区にあつては、市長又は区長。第十二条の三及び第十三条の二を除き、以下同じ。)」とあるのは「都道府県知事、地域保健法第五条第一項の政令で定める市(以下「保健所を設置する市」という。)の市長又は特別区の区長」と、同条第二項中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長」と、第九条の二第一項中「都道府県知事」とあるのは「都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)」と読み替えるものとする。
(昭三九法一二〇・追加、昭四五法一九・昭六三法七一・平六法八四・平一一法八七・一部改正)

第十二条の三 都道府県知事は、前条第一項に規定する者の行う医業類似行為が衛生上特に害があると認めるとき、又はその者が次の各号のいずれかに掲げる者に該当するとき、期間を定めてその業務を停止し、又はその業務の全部若しくは一部を禁止することができる。

一 心身の障害により前条第一項に規定する医業類似行為の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの

二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

三 罰金以上の刑に処せられた者

四 前号に該当する者を除くほか、前条第一項に規定する医業類似行為の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

② 前項の規定による業務の停止又は禁止に関して必要な事項は、政令で定める。
(昭三九法一二〇・追加、昭四五法一九・平五法八九・平一一法八七・平一三法八七・一部改正)

第十三条 第八条第一項(第十二条の二第二項の規定により準用される場合を含む。)の規定により都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長の権限に属するものとされている事務は、緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあつては、厚生労働大臣又は都道府県知事、保健所を設置する市の市長若しくは特別区の区長が行うものとする。この場合においては、この法律の規定中都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長に関する規定(当該事務に係るものに限る。)は、厚生労働大臣に関する規定として厚生労働大臣に適用があるものとする。

② 前項の場合において、厚生労働大臣又は都道府県知事、保健所を設置する市の市長若しくは特別区の区長が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。
(平一一法八七・追加、平一一法一六〇・旧第十三条の二繰上・一部改正)

第十三条の二 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

② 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
(平一一法一六〇・追加)

第十三条の三 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(昭六三法七一・追加、平一一法八七・旧第十三条の二繰下)

第十三条の四 第二条第六項又は第三条の九の規定に違反して、不正の採点をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(平一三法八七・追加)

第十三条の五 第三条の十一第一項(第三条の二十五において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(昭六三法七一・追加、平一一法八七・旧第十三条の三繰下、平一三法八七・旧第十三条の四繰下・一部改正)

第十三条の六 第三条の十七第二項(第三条の二十五において準用する場合を含む。)の規定による試験事務又は登録事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(昭六三法七一・追加、平一一法八七・旧第十三条の四繰下、平一三法八七・旧第十三条の五繰下・一部改正)

第十三条の七 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 第一条の規定に違反して、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業とした者

二 虚偽又は不正の事実に基づいてあん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けた者

三 第七条の二(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

四 第十二条の規定に違反した者

五 第十二条の三の規定に基づく業務禁止の処分に違反した者

② 前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(昭四五法一九・追加、昭六三法七一・旧第十三条の二繰下・一部改正、平七法九一・一部改正、平一一法八七・旧第十三条の五繰下、平一一法一六〇・一部改正、平一三法八七・旧第十三条の六繰下・一部改正)

第十三条の八 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第五条又は第七条(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

二 第六条の規定に違反した者

三 第八条第一項(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に基づく指示に違反した者

四 第九条第一項の規定により業務の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、業務を行つたもの

五 第九条の二第一項又は第二項(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

六 第十条第一項(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

七 第十一条第二項(第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定に基づく処分又は命令に違反した者

八 第十二条の三の規定に基づく業務停止の処分に違反した者
(昭四五法一九・追加、昭六三法七一・旧第十三条の三繰下・一部改正、平一一法八七・旧第十三条の六繰下、平一三法八七・旧第十三条の七繰下・一部改正)

第十三条の九 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定試験機関又は指定登録機関の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第三条の十二(第三条の二十五において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。

二 第三条の十四(第三条の二十五において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

三 第三条の十五第一項(第三条の二十五において準用する場合を含む。)の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

四 第三条の十六(第三条の二十五において準用する場合を含む。)の許可を受けないで試験事務又は登録事務の全部を廃止したとき。
(昭六三法七一・追加、平一一法八七・旧第十三条の七繰下、平一三法八七・旧第十三条の八繰下・一部改正)

第十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第十三条の八第一号又は第五号から第七号までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科する。
(昭四五法一九・全改、昭六三法七一・平一一法八七・一部改正、平一三法八七・旧第十四条の二繰上・一部改正)

附 則 抄

第十五条 この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。

第十六条 明治四十四年内務省令第十号按摩術営業取締規則、明治四十四年内務省令第十一号鍼術灸術営業取締規則、昭和二十一年厚生省令第四十七号柔道整復術営業取締規則又は昭和二十一年厚生省令第二十八号(按摩術営業取締規則、鍼術灸術営業取締規則及び柔道整復術営業取締規則の特例に関する省令)によつてした営業の免許又は停止の処分は、夫々この法律の相当規定によつてしたものとみなす。

第十八条 第二条第一項の規定の適用については、旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は文部科学省令・厚生労働省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者とみなす。
(昭六三法七一・全改、平三法二五・平一一法一六〇・平一三法一〇五・平一九法九六・一部改正)

第十八条の二 文部科学省令・厚生労働省令で定める程度の著しい視覚障害のある者(以下「視覚障害者」という。)にあつては、当分の間、第二条第一項の規定にかかわらず、学校教育法第五十七条の規定により高等学校に入学することのできる者であつて、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は厚生労働大臣の認定したあん摩マツサージ指圧師の養成施設若しくはあん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の養成施設において、あん摩マツサージ指圧師については三年以上、あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師については五年以上、これらの者となるのに必要な知識及び技能を修得したものは、試験を受けることができる。

② 前項の規定の適用については、旧国民学校令(昭和十六年勅令第百四十八号)による国民学校の高等科を卒業した者、旧中等学校令による中等学校の二年の課程を終わつた者又は文部科学省令・厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者は、学校教育法第五十七条の規定により高等学校に入学することのできる者とみなす。

③ 文部科学大臣又は厚生労働大臣は、第一項に規定する基準を定めようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
(昭六三法七一・全改、平一一法一六〇・平一九法九六・平二六法五一・一部改正)

第十九条 当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。

② 文部科学大臣又は厚生労働大臣は、前項の規定により認定又は承認をしない処分をしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
(昭三九法一二〇・全改、昭六三法七一・平一一法一六〇・一部改正)

第十九条の二 都道府県知事は、一部改正法律による改正前の第十九条第一項の規定による届出をしていた者が、当該届出に係る医業類似行為が指圧であつた場合にあつては昭和四十二年十二月三十一日まで、当該届出に係る医業類似行為が指圧以外のものであつた場合にあつては昭和三十九年十二月三十一日までの間に行われる第二条第一項のあん摩マツサージ指圧師試験に合格したときは、同条同項の規定にかかわらず、その者に対してあん摩マツサージ指圧師免許を与えることができる。
(昭三〇法一六一・追加、昭三三法七一・昭三六法二二九・昭三九法一二〇・一部改正)

附 則 (昭和二五年三月二八日法律第二六号)

この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。

附 則 (昭和二六年四月一日法律第一一六号) 抄

1 この法律中第七条の改正に関する部分は、公布の日から起算して六月を経過した日から、その他の部分は、公布の日から施行する。

附 則 (昭和二八年一月二〇日法律第三号)

この法律は、公布の日から施行する。

附 則 (昭和二八年八月一五日法律第二一三号) 抄

  1. この法律は、昭和二十八年九月一日から施行する。
  2. この法律施行前従前の法令の規定によりなされた許可、認可その他の処分又は申請、届出その他の手続は、それぞれ改正後の相当規定に基いてなされた処分又は手続とみなす。

附 則 (昭和三〇年八月一二日法律第一六一号)

  1. この法律は、公布の日から施行する。ただし、第十九条第一項の改正規定は、昭和三十一年一月一日から施行する。
  2. あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律(昭和三十九年法律第百二十号)による改正前のあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法(以下「旧法」という。)第十九条第一項の規定による届出をしていた者のうち、旧法の公布の際引き続き三箇月以上指圧を業としていた者は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第七十一号)による改正後のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「新法」という。)第一条の規定にかかわらず、当分の間、当該指圧を業とすることができる。
    (昭三三法七一・昭三六法二二九・昭三九法一二〇・昭四五法一九・昭六三法七一・一部改正)
  3. 前項に規定する者が当該指圧を業とするについての規制及びこれに違反した場合の処罰に関しては、新法第十二条の二第二項及び第十二条の三の規定並びにこれらの規定に係る第十三条の六、第十三条の七、第十四条及び第十四条の二の規定の例による。
    (昭三九法一二〇・昭四五法一九・昭六三法七一・平一一法八七・平一一法一六〇・一部改正)
  4. あん摩師以外の者でこの法律の施行前に第十二条の規定に違反して指圧を業としたもの及びこの法律の施行前に指圧の業務又はその業務が行われる場所に関して第十九条第二項において準用する第七条の規定に違反した者に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則 (昭和三三年四月二二日法律第七一号)

この法律は、公布の日から施行する。

附 則 (昭和三六年一一月一六日法律第二二九号)

この法律は、公布の日から施行する。

附 則 (昭和三七年九月一五日法律第一六一号) 抄

  1. この法律は、昭和三十七年十月一日から施行する。
  2. 2 この法律による改正後の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行前にされた行政庁の処分、この法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為その他この法律の施行前に生じた事項についても適用する。ただし、この法律による改正前の規定によつて生じた効力を妨げない。
  3. この法律の施行前に提起された訴願、審査の請求、異議の申立てその他の不服申立て(以下「訴願等」という。)については、この法律の施行後も、なお従前の例による。この法律の施行前にされた訴願等の裁決、決定その他の処分(以下「裁決等」という。)又はこの法律の施行前に提起された訴願等につきこの法律の施行後にされる裁決等にさらに不服がある場合の訴願等についても、同様とする。
  4. 前項に規定する訴願等で、この法律の施行後は行政不服審査法による不服申立てをすることができることとなる処分に係るものは、同法以外の法律の適用については、行政不服審査法による不服申立てとみなす。
  5. 第三項の規定によりこの法律の施行後にされる審査の請求、異議の申立てその他の不服申立ての裁決等については、行政不服審査法による不服申立てをすることができない。
  6. この法律の施行前にされた行政庁の処分で、この法律による改正前の規定により訴願等をすることができるものとされ、かつ、その提起期間が定められていなかつたものについて、行政不服審査法による不服申立てをすることができる期間は、この法律の施行の日から起算する。
  7. この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
  8. 前八項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

附 則 (昭和三九年六月三〇日法律第一二〇号) 抄
(施行期日)

  1. この法律は、公布の日から起算して三箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
    (昭和三九年政令第二九九号で昭和三九年九月二九日から施行)
    (あん摩、マツサージ及び指圧についての諮問等)
  2. 厚生大臣は、あん摩、マツサージ及び指圧の業務内容、業務を行なうことのできる者の免許資格等の事項に関し、すみやかに、あん摩、マツサージ、指圧、はり、きゆう、柔道整復等中央審議会に諮問し、その審議の結果を参しやくして必要な措置を講じなければならない。

(医業類似行為についての調査等)

  1. あん摩、マツサージ、指圧、はり、きゆう、柔道整復等中央審議会は、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)による改正後のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「新法」という。)第十三条第一項及び第二項並びに柔道整復師法第二十五条第一項に規定する事項のほか、あん摩、マツサージ、指圧、はり、きゆう及び柔道整復以外の医業類似行為に関する事項に関し、厚生大臣の諮問に応じ、又は自ら調査審議することができる。
    (昭四五法一九・一部改正)
  2. 厚生大臣は、昭和四十九年末を目途として、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゆう及び柔道整復以外の医業類似行為の業務内容、免許資格等の事項に関する前項の調査審議の結果を参しやくして、必要な措置を講じなければならない。

(昭四七法九九・全改)
(旧法によるあん摩師免許に関する経過規定)

  1. この法律の施行前にこの法律による改正前のあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法(以下「旧法」という。)の規定によりなされたあん摩師免許は、新法第一条のあん摩マツサージ指圧師免許とみなす。

(旧法によるあん摩師試験に関する経過規定)

  1. この法律の施行前に旧法第二条第一項のあん摩師試験に合格した者は、新法第二条第一項のあん摩マツサージ指圧師試験に合格した者とみなす。
    (旧法等による処分に関する経過規定)
  2.  旧法第十九条第二項又は第三項(この法律による改正前のあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律附則第三項においてその例によることとされる場合を含む。)の規定によつてした処分は、それぞれ、新法の相当規定(この法律による改正後のあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律附則第三項においてその例によることとされる場合を含む。)によつてした処分とみなす。

(罰則に関する経過規定)

  1. この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(旧法の規定による届出の遅れた者に対する経過規定)

  1. 旧法の公布の際引き続き三箇月以上、あん摩業、マツサージ業、はり業、きゆう業及び柔道整復業以外の医業類似行為を業としていた者であつて、やむをえない事由により旧法第十九条第一項の規定による届出をすることができなかつたと都道府県知事が認めたものが、この法律の施行の日から六箇月以内に厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出たときは、その者は、新法第十二条の二第一項及び第十九条の二第一項並びにこの法律による改正後のあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法の一部を改正する法律附則第二項の規定の適用については、その届出をした日以後は、旧法第十九条第一項の規定による届出をしていた者とみなす。

附 則 (昭和四五年四月一四日法律第一九号) 抄
(施行期日)

  1. この法律は、公布の日から起算して三箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
    (昭和四五年政令第二一六号で昭和四五年七月一〇日から施行)
    (あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師等に関する法律の一部改正に伴う経過規定)
  1. この法律の施行前に旧施行規則第二十三条の規定によりなされた旧法第二条第一項の試験の受験の禁止は、前項の規定による改正後のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下附則第十六項までにおいて「新法」という。)第二条第六項後段の規定によりなされた受験の禁止とみなす。
  2. 旧施行令第三条の規定により作成されたあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿は、それぞれ、新法第三条の二の規定により作成されたあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿とみなす。
  3. この法律の施行前に旧施行規則第二十四条(旧施行規則第二十六条の二において準用する場合を含む。)の規定によりした届出は、新法第九条の二(新法第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定によりした届出とみなす。
  4. この法律の施行前に旧法第十一条第二項の規定によりなされた施術所についての使用の制限若しくは禁止又は修繕若しくは改造の命令は、新法第十一条第二項の規定によりなされた使用の制限若しくは禁止又は改善命令とみなす。この場合において、当該処分のうち期間が定められていない処分については、都道府県知事(保健所を設置する市にあつては、市長)は、この法律の施行後遅滞なく期間を定めなければならない。

(罰則に関する経過規定)

  1. この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則 (昭和四七年六月二四日法律第九九号)

この法律は、公布の日から施行する。

附 則 (昭和五〇年七月一一日法律第五九号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。

附 則 (昭和五七年七月二三日法律第六九号) 抄
(施行期日等)

  1. この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

一 略

二 第十八条中あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第二条第五項の改正規定及び第二十一条中柔道整復師法第十一条の改正規定 昭和五十八年四月一日

三及び四 略

五 第十八条の規定(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第二条第五項の改正規定を除く。)、第二十条の規定及び第二十一条の規定(柔道整復師法第十一条の改正規定を除く。) 公布の日から起算して二月を経過した日
(経過措置)

4 附則第一項第五号に定める日前に次の各号に掲げる免許を取得した者の免許は、同日現在においてその者について、それぞれ当該各号に定める名簿を作成している都道府県知事が与えたものとみなす。

一 あん摩マツサージ指圧師免許 あん摩マツサージ指圧師名簿

二 はり師免許 はり師名簿

三 きゆう師免許 きゆう師名簿

9 この法律(附則第一項第四号及び第五号に掲げる規定については、当該各規定)の施行前にした行為並びに附則第三項第一号の規定により従前の例によることとされる届出に係るこの法律の施行後にした行為及び同項第二号の規定により従前の例によることとされるトランプ類税に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則 (昭和六三年五月三一日法律第七一号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、平成二年四月一日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
(平元法三一・一部改正)
(実施のための準備)

第二条 この法律による改正後のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下「新法」という。)の円滑な実施を確保するため、文部大臣は新法第二条第一項に規定する学校、厚生大臣は同項に規定する養成施設、新法第三条の四第一項に規定する指定試験機関及び新法第三条の二十三第一項に規定する指定登録機関(以下「指定登録機関」という。)に関し必要な準備を行うものとする。
(あん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験の受験資格の特例)

第六条 新法第二条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行の際現に旧法第二条第一項の規定により文部大臣の認定した学校又は厚生大臣の認定した養成施設において同項に規定する知識及び技能の修得を終えている者並びにこの法律の施行の際現に当該学校又は養成施設において当該知識及び技能を修得中の者であつてこの法律の施行後にその修得を終えたものは、あん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験を受けることができる。この場合において、当該知識及び技能を修得中の者がその修得を終える日までの間は、当該学校又は養成施設に係る旧法第二条第一項の規定による文部大臣の認定又は厚生大臣の認定は、なおその効力を有する。
(平二一法二〇・一部改正)
(旧法の規定によりあん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けた者)

第七条 旧法の規定によりあん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けた者は、新法の規定によりあん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けた者とみなす。
(旧法の規定によるあん摩マツサージ指圧師免許証、はり師免許証又はきゆう師免許証)

第八条 旧法第三条の二の規定により交付されたあん摩マツサージ指圧師免許証、はり師免許証又はきゆう師免許証は、新法第三条の三第二項の規定により交付されたあん摩マツサージ指圧師免許証、はり師免許証又はきゆう師免許証とみなす。
(旧法の規定によるあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿)

第九条 旧法第三条の三の規定によるあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿は、新法第三条の二の規定によるあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿とみなし、旧法第三条の三の規定によりなされたあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿への登録は、新法第三条の二の規定によりなされたあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿又はきゆう師名簿への登録とみなす。

  1. 都道府県知事は、附則第三条に規定する厚生大臣の告示する日において、前項に規定するあん摩マツサージ指圧師名簿、はり師名簿及びきゆう師名簿を厚生大臣に引き継ぐものとする。
  2. 指定登録機関があん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師の登録の実施等に関する事務を行う場合における前項の規定の適用については、「厚生大臣に」とあるのは、「指定登録機関に」とする。

(講習会)

第十条 この法律の施行の際現にあん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師である者及び附則第六条に規定する者であん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となつたものは、厚生労働大臣の指定する講習会を受けるように努めるものとする。
(平一一法一六〇・一部改正)
(旧法による処分及び手続)

第十一条 この附則に特別の規定があるものを除くほか、旧法によつてした処分、手続その他の行為は、新法中にこれに相当する規定があるときは、新法(第二条第一項(学校又は養成施設に関する部分に限る。)を除く。)によつてしたものとみなす。
(罰則に関する経過措置)

第十二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

  1. この法律の施行の日から附則第三条又は第四条に規定する厚生大臣の告示する日までの間にした行為であつてこれらの規定によりなお効力を有するものとされる旧法第二条(学校及び養成施設に関する部分を除く。)又は第九条第一項の規定に係るものに対する罰則の適用については、附則第三条又は第四条に規定する厚生大臣の告示する日後も、なお従前の例による。
    (経過措置の政令への委任)

第十三条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

附 則 (平成元年六月二八日法律第三一号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(平成元年政令第二九六号で平成元年一一月一日から施行)

附 則 (平成三年四月二日法律第二五号) 抄
(施行期日)

  1. この法律は、平成三年七月一日から施行する。
    附 則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄
    (施行期日)

第一条 この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成六年一〇月一日)
(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)

第十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)

第十四条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。
(政令への委任)

第十五条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (平成六年七月一日法律第八四号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条中母子保健法第十八条の改正規定(「又は保健所を設置する市」を「、保健所を設置する市又は特別区」に改める部分を除く。)は平成七年一月一日から、第二条、第四条、第五条、第七条、第九条、第十一条、第十三条、第十五条、第十七条、第十八条及び第二十条の規定並びに附則第三条から第十一条まで、附則第二十三条から第三十七条まで及び附則第三十九条の規定は平成九年四月一日から施行する。
(平八法一〇五・一部改正)
(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第六条 第十一条の施行日前に発生した事項につき改正前のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第九条の二(同法第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定により届け出なければならないこととされている事項の届出については、なお従前の例による。
(その他の処分、申請等に係る経過措置)

第十三条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)に対するこの法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、附則第五条から第十条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
(罰則に関する経過措置)

第十四条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則において従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)

第十五条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は政令で定める。

附 則 (平成七年五月一二日法律第九一号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日
(厚生大臣に対する再審査請求に係る経過措置)

第七十四条 施行日前にされた行政庁の処分に係る第百四十九条から第百五十一条まで、第百五十七条、第百五十八条、第百六十五条、第百六十八条、第百七十条、第百七十二条、第百七十三条、第百七十五条、第百七十六条、第百八十三条、第百八十八条、第百九十五条、第二百一条、第二百八条、第二百十四条、第二百十九条から第二百二十一条まで、第二百二十九条又は第二百三十八条の規定による改正前の児童福祉法第五十九条の四第二項、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十二条の四、食品衛生法第二十九条の四、旅館業法第九条の三、公衆浴場法第七条の三、医療法第七十一条の三、身体障害者福祉法第四十三条の二第二項、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五十一条の十二第二項、クリーニング業法第十四条の二第二項、狂犬病予防法第二十五条の二、社会福祉事業法第八十三条の二第二項、結核予防法第六十九条、と❜畜場法第二十条、歯科技工士法第二十七条の二、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律第二十条の八の二、知的障害者福祉法第三十条第二項、老人福祉法第三十四条第二項、母子保健法第二十六条第二項、柔道整復師法第二十三条、建築物における衛生的環境の確保に関する法律第十四条第二項、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二十四条、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第四十一条第三項又は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六十五条の規定に基づく再審査請求については、なお従前の例による。
(厚生大臣又は都道府県知事その他の地方公共団体の機関がした事業の停止命令その他の処分に関する経過措置)

第七十五条 この法律による改正前の児童福祉法第四十六条第四項若しくは第五十九条第一項若しくは第三項、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第八条第一項(同法第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、食品衛生法第二十二条、医療法第五条第二項若しくは第二十五条第一項、毒物及び劇物取締法第十七条第一項(同法第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)、厚生年金保険法第百条第一項、水道法第三十九条第一項、国民年金法第百六条第一項、薬事法第六十九条第一項若しくは第七十二条又は柔道整復師法第十八条第一項の規定により厚生大臣又は都道府県知事その他の地方公共団体の機関がした事業の停止命令その他の処分は、それぞれ、この法律による改正後の児童福祉法第四十六条第四項若しくは第五十九条第一項若しくは第三項、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第八条第一項(同法第十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、食品衛生法第二十二条若しくは第二十三条、医療法第五条第二項若しくは第二十五条第一項、毒物及び劇物取締法第十七条第一項若しくは第二項(同法第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)、厚生年金保険法第百条第一項、水道法第三十九条第一項若しくは第二項、国民年金法第百六条第一項、薬事法第六十九条第一項若しくは第二項若しくは第七十二条第二項又は柔道整復師法第十八条第一項の規定により厚生大臣又は地方公共団体がした事業の停止命令その他の処分とみなす。
(国等の事務)

第百五十九条 この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
(処分、申請等に関する経過措置)

第百六十条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。

  1. この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
    (不服申立てに関する経過措置)

第百六十一条 施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。

  1. 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
    (手数料に関する経過措置)

第百六十二条 施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)

第百六十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)

第百六十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)

第二百五十条 新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。
第二百五十一条 政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
(施行の日=平成一三年一月六日)

一 略

二 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日
(別に定める経過措置)

第三十条 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。

○中央省庁等改革関係法施行法(平成一一法律一六〇)抄

(処分、申請等に関する経過措置)

第千三百一条 中央省庁等改革関係法及びこの法律(以下「改革関係法等」と総称する。)の施行前に法令の規定により従前の国の機関がした免許、許可、認可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、改革関係法等の施行後の法令の相当規定に基づいて、相当の国の機関がした免許、許可、認可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。

  1. 改革関係法等の施行の際現に法令の規定により従前の国の機関に対してされている申請、届出その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、改革関係法等の施行後の法令の相当規定に基づいて、相当の国の機関に対してされた申請、届出その他の行為とみなす。
  2. 改革関係法等の施行前に法令の規定により従前の国の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならないとされている事項で、改革関係法等の施行の日前にその手続がされていないものについては、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、これを、改革関係法等の施行後の法令の相当規定により相当の国の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならないとされた事項についてその手続がされていないものとみなして、改革関係法等の施行後の法令の規定を適用する。

(従前の例による処分等に関する経過措置)

第千三百二条 なお従前の例によることとする法令の規定により、従前の国の機関がすべき免許、許可、認可、承認、指定その他の処分若しくは通知その他の行為又は従前の国の機関に対してすべき申請、届出その他の行為については、法令に別段の定めがあるもののほか、改革関係法等の施行後は、改革関係法等の施行後の法令の規定に基づくその任務及び所掌事務の区分に応じ、それぞれ、相当の国の機関がすべきものとし、又は相当の国の機関に対してすべきものとする。
(罰則に関する経過措置)

第千三百三条 改革関係法等の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)

第千三百四十四条 第七十一条から第七十六条まで及び第千三百一条から前条まで並びに中央省庁等改革関係法に定めるもののほか、改革関係法等の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日

附 則 (平成一三年六月二九日法律第八七号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(平成一三年政令第二三五号で平成一三年七月一六日から施行)
(検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律における障害者に係る欠格事由の在り方について、当該欠格事由に関する規定の施行の状況を勘案して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(再免許に係る経過措置)

第三条 この法律による改正前のそれぞれの法律に規定する免許の取消事由により免許を取り消された者に係る当該取消事由がこの法律による改正後のそれぞれの法律により再免許を与えることができる取消事由(以下この条において「再免許が与えられる免許の取消事由」という。)に相当するものであるときは、その者を再免許が与えられる免許の取消事由により免許が取り消された者とみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の再免許に関する規定を適用する。
(罰則に係る経過措置)

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則 (平成一三年七月一一日法律第一〇五号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 略

二 第五十六条に一項を加える改正規定、第五十七条第三項の改正規定、第六十七条に一項を加える改正規定並びに第七十三条の三及び第八十二条の十の改正規定並びに次条及び附則第五条から第十六条までの規定 平成十四年四月一日

○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

(平成一八法律五〇)抄
(罰則に関する経過措置)

第四百五十七条 施行日前にした行為及びこの法律の規定によりなお従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)

第四百五十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の規定による法律の廃止又は改正に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

附 則 (平成一八年六月二日法律第五〇号) 抄
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
(施行の日=平成二〇年一二月一日)
(平二三法七四・旧第一項・一部改正)

附 則 (平成一九年六月二七日法律第九六号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(平成一九年政令第三六二号で平成一九年一二月二六日から施行)
附 則 (平成二一年四月二二日法律第二〇号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、平成二十一年九月一日から施行する。
(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第二条 この法律の施行前に第一条の規定による改正前のあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の規定によりなされたあん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許若しくはきゅう師免許又はあん摩マッサージ指圧師試験、はり師試験若しくはきゅう師試験は、それぞれ、同条の規定による改正後の同法の規定によりなされたあん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許若しくはきゅう師免許又はあん摩マッサージ指圧師国家試験、はり師国家試験若しくはきゅう師国家試験とみなす。
(処分、手続等に関する経過措置)

第七条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、この法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)中相当する規定があるものは、これらの規定によってした処分、手続その他の行為とみなす。
(罰則に関する経過措置)

第八条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則 (平成二三年六月二四日法律第七四号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附 則 (平成二六年六月四日法律第五一号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。
(処分、申請等に関する経過措置)

第七条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び次条において同じ。)の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この項において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現にこの法律による改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この項において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又はこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後におけるこの法律による改正後のそれぞれの法律の適用については、この法律による改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。

  1. この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、この法律による改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
    (罰則に関する経過措置)

第八条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)

第九条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附 則 (平成二六年六月一三日法律第六九号) 抄
(施行期日)

第一条 この法律は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成二八年四月一日)
(経過措置の原則)

第五条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
(訴訟に関する経過措置)

第六条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。

  1. この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。
  2. 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)

第九条 この法律の施行前にした行為並びに附則第五条及び前二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)

第十条 附則第五条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

○刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律

(令和四法律六八)抄
(経過措置の政令への委任)

第五百九条 この編に定めるもののほか、刑法等一部改正法等の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (令和四年六月一七日法律第六八号) 抄
(施行期日)

  1. この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第五百九条の規定 公布の日

資料6

最近の新聞報道 個人や団体の名称は省きました

  1.  無資格マッサージ師派遣容疑の業者ら逮捕(東京新聞)
    無資格のマッサージ師を全国の健康ランドやホテルに派遣していたなどとして、神奈川県警生活経済課と厚木署は14日までに、あん摩マッサージ指圧師?はり師?きゅう師等に関する法律違反の疑いで、東京都新宿区新宿2、マッサージ師派遣会社の会長(51)と弟で同区納戸町、同社社長(4 8)の両容疑者を逮捕。15日、同社と無資格マッサージ師の女二人を同法違反容疑で書類送検する。同課によると、同法でのマッサージ業者摘発は珍しいという。
    調べでは、両容疑者は昨年3月、横浜市瀬谷区の健康センター内に、県知事に無届けでマッサージ施術所を開設。6月15日から7月2 6日の間、無資格のマッサージ師4人を使い13回にわたり、同区内の美容師女性(5 4)ら9人にマッサージさせた疑い。4人のうち中国人男女2人が11月、同容疑で逮捕され、罰金刑を受けている。同社所属のマッサージ師7 〇 〇人のうち、5 2 2人は無資格とみられる。調べに対し、容疑者の会長は「うちはボディーケアで、マッサージではない」と容疑を否認しているという。
    同社は19 81年に設立され、首都圏を中心に全国12都府県の健康ランドなどに施術所5 4カ所を開設。ホテルなどにも派遣し、年商は2 4億円で業界最大手という。2002年1月から〇 3年6月の間に得た不法利益は、6億9 9 0 〇万円に上るとみられる。
  2. 無資格マッサージ 業界関係者は摘発を歓迎(毎日新聞)
    健康ブームに乗ってさまざまな無資格マッサージが横行する中、県警生活経済課などは14日までに、無資格マッサージ師を派遣した会社(東京都新宿区)会長(51)らを逮捕した。「マッサージ」の定義が法律上、明記されておらず、まかり通る違法営業の摘発は難しい。県警は「危険な上、苦労して資格を取った人たちの職域を侵す行為」と指摘。業界関係者は「無資格への警鐘。抑止効果が期待できる」と摘発を歓迎した。「うちはボディーケアだ」。容疑者の会長は調べに、そう主張している。マッサージなど「医療類似行為」には、国家資格が必要。施術所は県知事へ届け出義務がある。しかし無資格・無届け業者が「うちは従来のマッサージと違う」と、行政指導や捜査を逃れるのは常とう手段だとされる。だが今回、県警の照会に対し厚生労働省は、マッサージの定義を「体重をかけ、対象者が痛みを感じる強さで行う行為」と回答。これを受け県警は派遣会社の摘発に踏み切った。同社が雇っていたマッサージ師約7 0 0人中、無資格者は5 2 2人。採用後、同容疑者が設けた養成所でーカ月ほど研修を受けただけという。「ずっと歯がゆい思いをしてきた。行政は積極的な指導をしなかった。今回の摘発は画期的で、抑止効果が期待できる。無資格の施術はトラブルにもなる」。全日本緘灸マッサージ師会の会長は憤る。県警が押収した派遣会社の台帳には「ろつ骨にひびが入った」「首が動かなくなった」など2 4件の苦情が記録されていた。県医療整備課は「保健所が指導に出向いても『これはマッサージではない』と言われれば、どうしょうもなかった」と話す。昨年8月各保健所や県旅館生活衛生同業組合に、旅館へ派遣されてくるマッサージ師の資格を確認するよう求める依頼文を出したという。(文:中沢佳子)
  3. 敦賀市の無資格マッサージ(毎日新聞)
    福井県警敦賀署は2 0 0 4年1月14日、無届けでマッサージ店を経営、免許がないのにマッサージ行為をしたとして、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律違反の疑いで京都市伏見区向島鷹場町、エステ店経営の容疑者(4 0)、従業員ら中国人女性計5人を逮捕した。調べでは、容疑者は2 0 0 2年10月ごろから、福井県敦賀市清水町で、県知事に届け出ずにマッサージ店を経営、従業員4人は同店で免許がないのにマッサージ行為をした疑い。
  4. 住職逮捕 本堂で無免許の灸治療やマッサージ(毎日新聞)
    奈良県警高田署は1〇日、国家資格が必要な灸(きゅう)治療を無免許で行ったとして同県新庄町梅室、住職(5 3)をあん摩マッサージ指圧師等法違反容疑で逮捕した。容疑者の住職は「観音様の守護が手に乗り移り、患部に導いてくれる。金もうけ目的ではない」と話しているという。
    調べでは、容疑者の住職は昨年11月に2回、今月10日に1回の計3回、同県大和高田市内の女性(7 0)に無免許で灸治療をし、治療費を受け取った疑い。寺の本堂で週2日、灸治療やマッサージを行い、お布施名目で1回1000円を治療費として受け取り、一部は生活費に充てていたらしい。同寺は数十年前から灸治療を行っており、「よく効く」との評判が口コミで広まり、先代住職時代には九州からも患者が訪れたという。田崎容疑者は約20年前に同寺で治療を受けたのをきっかけに出家し、96年に住職を継いだ。
    灸治療で数人がやけどをし、医師に「ツボが外れている」と指摘されたとの情報が寄せられ、同署が捜査していた。(文:野村和史)
  5. 整骨院経営グループが無免許で緘灸、二十数人逮捕(毎日新聞)
    東京都内で整骨院を経営しているグループが、国家資格が必要とされる「はり」「きゆう」「マッサージ」を無免許で行っていたとして、警視庁生活環境課は、あんま・マッサージ?指圧師法違反(無免許)の疑いで、グループ経営者と従業員ら2 0数人を逮捕した。同グループは、無免許で行ったマッサージ行為などの診療報酬を不正に請求していた疑いがあり、同課は詐欺容疑での立件も視野に捜査している。「癒やし」ブームなどで業者が急増する中、無免許業者の摘発としては過去最大規模。摘発されたのは、容疑者(5 6)が経営する新宿区中落合1、緘灸整骨院などグループ2 3店舗のうち2 2店舗。調べによると、容疑者と従業員らは「はり」「きゅう」「マッサージ」の免許もないのにマッサージなどを行っていた疑いで、先月2 9日に逮捕された。
    容疑者は、7年ほど前に整骨院を開業して以降、徐々に店舗を拡大。現在、都内に計2 3店舗、約150人の従業員を抱えている。各店舗は、保健所に開業に必要な届け出はしていたものの、従業員の大半は免許を持っておらず、「かえって腰を痛めた」などの苦情も寄せられていた。また、はり、きゅうなどの場合、神経痛などの「慢性疾患」で、効果があると医師に判断されたケースには医療保険が適用されることもある。しかし、同グループは、訪れたすべての客に保険証の提示を求め、「病名はこちらで考えさせてもらいます」などと言って、委任状に署名をさせていた。このため、健康な人の場合でも、治療費は1回あたり数百円程度ですみ、口コミなどで大勢の近所のお年寄りなどでにぎわっていた。従業員の中には、就学ビザなどで来日していた中国人もおり、同課ではこれらの店舗が外国人の不法滞在の温床になっている疑いもあるとみて、さらに実態の解明を急いでいる。全日本緘灸マッサージ師会によると、はり、きゅう、マッサージの免許を持っている人は、全国に約9万人いるとされる。しかし、店内に免許を掲げる義務はなく、訪れた客は免許を持っているのかどうかを知りようがないのが実情で、同会長も「客には区別がつかないが、仕組みを勉強せずに体をさわるのは危険」と話している。あんま・マッサージ・指圧師法では免許には、あんまマッサージ指圧師と、はり、きゆうの3種類がある。高卒程度の場合、文部科学省か厚生労働省が認定した養成施設で、3年以上学んだ上、国家試験に合格しなければ、免許を取得出来ない。無許可の施術は、30万円以下の罰金。
  6. 「気を送る」と女性を全裸治療摂食障害治療費脱税疑惑で逮捕
    拒食症や過食症に悩む女性から集めた「治療費」の所得税1億5 0 0万円を脱税したとして、東京地検特捜部は3日、所得税法違反の疑いで「摂食障害回復支援会」の主宰者(5 4)=東京都世田谷区=を逮捕した。主宰者は、女性を全裸にして診療し、苦情も相次いでいた。主宰者は自ら「賢治安大菩薩」と名乗り、国税当局の調査には、受領した金は非課税の「お布施」と主張。容疑を否認しているとみられる。
    調べでは、主宰者は同会のホームページを開設。「集団治療」と称して1人当たり週2回で15万から16万円を受領していた。「治療」では女性を薄着や全裸にさせ「気を送る」と称していた。
  7. 「マッサージをする」 女性にわいせつ行為をした整体師逮捕
    マッサージをすると言って女性にわいせつな行為をしていたとして、福井市内の整体師が強制わいせつの疑いで逮捕された。逮捕されたのは福井市江守中1丁目の整体師、岸本 英雄容疑者55歳。福井南警察署の調べによると、容疑者は先月12月12日、自らが経営する福井市江守中2 丁目の整体院の診療室で、福井市内の2 0歳代の女性に対し、マッサージをするなどと言ってわいせつな行為をした疑い。女性が被害届を出して犯行が明らかになったもので、警察では容疑者を厳しく追及する方針。
  8. マッサージ師違法派遣 スーパー銭湯に施術所(毎日新聞)
    あん摩マッサージ指圧師?はり師?きゅう師などに関する法律違反容疑で2005年2月14日摘発された東京都福生市の派遣会社は、1都7県の16のスーパー銭湯に施術所を開き、売り上げは年約6億円、利用者は17万人にのぼることが埼玉県警の調べでわかった。県警は「苦労して免許を取った人の職域を侵し、利用者の身体にも危険がある」として立件に踏み切った。県警生活経済課と川越署の調べでは、同社社長(46)は2002~4年、鶴ヶ島市と入間市のスーパー銭湯に県知事に無届けでマッサージ施術所を開いた。さらに。 4年、川越市を含む3カ所の施術所に無免許の男性マッサージ師3人を派遣した疑い。同課などによると、同社はスーパー銭湯内に「健康室」という施術所を開き「オリンピックチームの専属トレーナーの実績あり」などとPRし、980円~5800円(30~6 0分)などのコースを設定してサービスを提供。しかし、同社が派遣していたマッサージ師126人中、免許取得者は17人だけだった。報酬は歩合制で、免許取得者はサービス料の55%、無免許者は同40~45%が支払われていたという。
    同社はかって「指圧室」として“営業”していたが、04年1月、神奈川県警が同業者を同法違反で摘発し「健康室」に名称を変えた。サービス内容も指圧ではなく「ボデイケア」「リラクゼーション」と表現を改めた。しかし、埼玉県警は同社のサービス内容を厚生労働省に照会するなどし「身体に危険がある行為でマッサージに該当する」と判断した。
    同県緘灸按マッサージ指圧師会は04年12月、無資格施術を取り締まる法整備を求めて請願書を同県議会に提出し、採択されている。同会の高野宗吉会長によると、現行法では無免許でマッサージしても身体に直接被害がない限り、ほぼ野放し状態だという。(村上尊一氏、和田憲二氏の文章を一部変更)
  9. マッサージ師違法派遣 会社社長を略式起訴(毎日新聞)
    1都7県のスーパー銭湯に無免許マッサージ師を派遣したなどとして、東京都福生市の派遣会社が摘発された事件で、川越区検は4日、同社社長(4 7)をあん摩マッサージ指圧師?はり師・きゅう師等に関する法律違反罪で略式起訴した。川越簡裁は同日、同社に罰金3 0万円、社長に同5 0万円の略式命令を出した。また、県警生活経済課と川越署などは同日、同社の整体師で飯能市などに住む男3人(3 7 – 5 8歳)を同法違反容疑でさいたま地検川越支部に書類送検した。略式命令などによると、社長は。 2年9月と。 4年1月、鶴ヶ島と入間市のスーパー銭湯に、県知事に無届けで施術所「健康室」を開設した。飯能市に住む無免許整体師の男(5 8)を入間市内の施術所に派遣し、。 4年10月6日午後8時15分ごろ、男性客(3 3)に3 9 0 0円でマッサージさせるなどした。県が県内の7カ所の「健康室」を調べたところ、2月中旬時点で、5カ所が営業を続けており、うち4カ所は無届けのままだった。同社は県に「(届け出の不要な)整体」と回答しており、県はサービス内容がマッサージ行為にあたるか慎重に調べている。
    (村上尊一氏の文章を一部変更)
  10. 無資格でマッサージ 土成の温泉 男女2人逮捕(読売新聞)
    徳島県警生活保安課と市場署などは2004年9月7日、土成町吉田の温泉施設内のマッサージ室で免許を持たない従業員にマッサージをさせていたとして東京都練馬区、マッサージ会社社長(4 1)と、実際にマッサージをしていた同社従業員(4 9)両容疑者をマッサージ指圧師などに関する法律違反容疑で逮捕した。調べでは、二人は共謀して、7月2日と8月24日、客2人から計6 0 0 0円を受け取り、無免許のまま、体をもむなどした疑い。同室では他にもブラジル国籍の日系人の男三人が無免許でマッサージをしていた疑いがあり、追及している。

資料7

京都市会定例会?臨時会の結果
平成14年第4回定例会 【採択請願】
あん摩マッサージ指圧師等に関する法律等の遵守
受理番号78614.11.21採択

要旨
我が国において開業権を持つ医療行為者は,医師以外では,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師及び柔道整復師であるが,最近規制緩和の風潮に乗って無免許で類似の行為を行う脱法違法行為者が激増し,関係者はその対策に難渋している。このことは,国民の医療に対する信用を失墜させると同時に,その健康と疾病予防並びに治療に関して重大な不安を抱かせるものであり,医療現場はもちろんのこと,国民福祉の全体にわたって大きな混乱を招くものである。このため,あん摩マッサージ指圧師等に関する法律及び関係法令の正しい運用が図られるよう,しかるべき処置を講じることを願う。

資料8

○無免許あん摩師の取り締り等について

(昭和三二年一一月二〇日)
(発医第一六六号)
(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

 最近、都会、温泉地等において、無資格であん摩業を営む者が増加する傾向がうかがわれ、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の適正な運用を期するうえからも放置し難い状態を惹起している。
かかる無資格あん摩業については、第二十二特別国会において、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法の一部改正が行なわれた際の衆、参両院社会労働委員会の附帯決議においても、その根絶を要望されたところであるが、かかる事態の根絶を期するためには、あん摩師の業界等に対し必要な指導を強化するとともに、これと併行して無免許あん摩師の取締を徹底することが必要であると思われるので、概ね左記事項に配意のうえ遺憾なきを期せられたい。
なお、本件については警察庁とも打合済みであるから申し添える。

  1. 都道府県衛生主管部局は、都道府県警察当局との連絡を密にし、衛生主管部局の行う行政指導と警察取締とが下部機関に至るまで有機的に連携して行なわれるよう配意し、総合的効果をあげるよう努めること。
  2. 温泉地、観光地その他無免許あん摩師の多い地域に重点を置いて、あん摩業界の実態把握に努め実情に応じ適切な指導方策を講ずるとともに警察取締上必要と認められる資料情報等は努めてこれを都道府県警察当局に提供し、効率的な取締が行なわれるよう協力すること。
    なお、衛生主管部局において無免許あん摩師に関する事犯を認知した場合には、証拠となる資料をできる限り詳細に整備したうえ、警察当局に対し告発の措置をとること。
  3. 最近免許所有者で、免許を有しない若い婦女子を雇傭し、住込みその他により短時間の施術の手ほどきをし、旅館、料亭等に出張させて施術を行わしめ、その報酬を一定の割合で分配しているものがあるが、この種業者については、無資格あん摩業の共犯としての告発、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第九条による業務の停止又は免許の取消の行政処分等の措置を行うこと。なお、いわゆるトルコ風呂等において行われるもみ、たたき等の行為であっても時間、刺戟の強さ等から総合的に判断してあん摩行為と認められる場合があるが、かかる行為を業として無資格者が行うことはあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第一条の規定違反に該当するので、この種の業務を行っている者に対しては、実情に応じ、警告を発し、又は告発等の措置をとること。
  4. あん摩師の学校又は養成施設の生徒が免許を受ける以前において施術を業として行うことは明らかに、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法に違反するものであるから、管内所在のあん摩師養成施設の長に対しかかる行為を行わせないよう連絡指導し、その絶無を期すること。
  5. あん摩業の実態を把握し、あわせて無免許あん摩師の取締りに資するため、衛生主管部局において業者団体と連絡をとり、例えば、免許所有者に対して、免許証の写又は免許所有証明書等免許者であることを証明する証票を発行し、営業に際してこれを携行させる等の措置を考慮すること。
    6 無免許あん摩師の絶滅を期するためには主要な需要先である旅館、料亭等の営業者の協力に俟つところが多いので、その積極的な協力を要請し、無免許あん摩師と知りながらこれを客に仲介し、施術を行わせることのないよう徹底した指導を行うとともに、衛生主管部局においてこれら業者に対して免許所有者であるか否かを識別するための資料として当該地区の免許所有者名簿を作製配布する等の措置を考慮すること。

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について

(昭和三五年四月一三日)
(三五医第一六号)
(厚生省医務局長あて長崎県衛生部長照会)

医発第二四七号をもって通知がありました標記について更に疑義を生じましたので左記事項につき御教示承りたく照会いたします。

  1. 法第一条あんまのうちには指圧も含まれており無資格者がその行為を行えば当然取締りの対象となるものであるが、しかしいわゆる医業類似行為業のうち手技に指圧が含まれているとすれば、その指圧療法が無害であれば取締の対象とならないと思う如何にすべきか。
  2. 法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者についての当該事務に関する取扱いは従来どおりとされているが無届者がHS式等同一器具を用い営業を行う場合は法の対象外となり法第十九条第二~三項(医師法違反以外)についてもその対象とならず矛盾している。如何にすべきか。
    予想される現象として、届出済の者で取締の対象から逃れるため、廃業届をする者が出てくると思われる。その結果は全くの野放し状態になるが、立法の主旨から考えて好ましいこととは思われない。

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について(医務局長回答)

(昭和三五年六月一三日医発第四六七号)
(長崎県知事あて厚生省医務局長回答)

昭和三十五年四月十三日三五医第一六号をもって貴県衛生部長から照会のあった標記について、左記のとおり回答する。

  1. 昭和三十五年一月二十七日の最高裁判所の判決は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下「法」という。)第十二条に規定する医業類似行為に関するものであり、法第一条に掲げる指圧を含むあん摩等は、判断の対象になっていないのであって、昭和三十五年三月三十日医発第二四七号の一本職通知第一項にいう手技にも指圧は含まれていないものである。
    従って、あん摩師免許をもたず、かつ、届出により暫定的に指圧を行なうことを認められている者でない療術者が、客観的に指圧に該当する施術を業として行うのであれば、その事実をもって法第一条違反として、法第十四条第一号の規定により処罰の対象になるものと了解されたい。
  2. 法第十九条第一項の規定による届出の効果は、法第十二条の禁止規定にかかわらず、届出に係る医業類似行為を業として行なうことができることであり、法第十九条第二項及び第三項は、それに附随する規制であると解して取り扱われたい。
    なお、HS式療法が無害であるとして本件報告が無罪となったものでないので、念のため申し添える。

○免許を受けないであん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについて

(昭和三九年一一月一八日)
(医発第一三七九号)
(各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

 免許を受けないで、あん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについては、従来、通知したところにしたがって御配意をわずらわしているところであり、さらに本年九月二十八日本職名をもって、「あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律等について」通知した中でも、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の職域を確保するという観点から一層意を用いられたい旨要望したところである。視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師がかねてよりこの業務における職域の確保をつよく主張した理由の一つに免許を受けないあん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の増加があることは明らかである。今般改正されたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)によって、視覚障害者のこの業における職域確保の実現をみたが、この措置を効果あらしめるためにも、さらに左記の方針にしたがい引きつづき免許をうけないでこの業務を行なうものの取締りを強化されたく、重ねて通知する。

  1. 免許を受けないであん摩マッサージ又は指圧を業とする者がその業務を行なうことの多い旅館等については、その地域の免許を有するあん摩マッサージ指圧師の名簿を配布させる等の方法を講じ免許を受けない者の排除について周知をはかり協力を求めること。
  2. 施術所を開設している者については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律施行規則(以下「施行規則」という)第二十四条の規定により届け出られた施術者の氏名を確認し、免許を受けないで業務に従事する者のないように警告するとともに、これらの者に違反行為を行なわせている者であって免許を受けている者に対しては適時適当な行政処分を行なうこと。もっぱら出張によって業務を行なう者についてもこれに準じて扱うこと。
  3. あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師又は柔道整復師を養成する学校又は養成所に在学する者の実習については、昭和三十八年一月九日本職通知「あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所に在学している者の実習等の取り扱いについて」に示したとおり行なわせるようにし、これらの者が、その限度をこえて違法行為にわたることのないよう指導されたいこと。
  4. 前記1ないし3とは別に免許を受けた者とは直接関係なしに免許を受けないでこれらの業を行なう者については、関係業界の協力を得て、その発見につとめること。
  5. 前記1ないし4によって把握された違法行為を行なう者についての取締りについては、警察に協力するとともに、その告発については、昭和三十七年十二月二十七日、医務局医事課長発各都道府県衛生部長宛通知「無免許あん摩の取締等について」によられたいこと。

○身□均□協会について

(昭和四一年九月七日)
(医第二〇八七号)
(厚生省医務局総務課長あて佐賀県厚生部長照会)

 東京都渋谷区代官山町九番地に本部を置く「身□均□協会」に本県に居住している免許を有する柔道整復師および認定を受けた医療類似行為者等が加入しているが、なかには前記以外の全く無資格の者も加入しています。
先日、たまたま無資格の者が指圧ないしマッサージ的な方法をもって施療しているという情報により、その該当者について調査したところ「身体均整協会」の指導により、「整顔整容法」をなしていると言明しました。
同協会が発行している講習会テキスト「整顔整容法」の内容をつぶさに検討しましたが治療あるいは施療などというような字句は全く見当らず、一概にいえば身体のデザインをよくするという論旨のようであり、したがって、このテキストどおりになすとしたら医療類似行為とは見なされないとも考えられるが、その実態は、訪れてくるほとんどの人が「腰が痛むから」「腰をそらかしたから」「リューマチ」「神経痛で」と、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に施療に行っている人となんら変らず、なお行なっているその方法も指圧ないしマッサージ的方法であります。
以上の事情から左記のことをご教示ください。

  1. 身□均□協会が主唱している「整顔整容法」という方法は医行為あるいはあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為以外の行為と見なしてよいか。
  2. 「整顔整容法」が医行為あるいは、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為以外の行為であっても現実に「腰が痛いので」「腰をそらかしたから」「リューマチ」「神経痛」だからといって施療を受けにきたものに、あん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師ならびに医療類似行為者以外の者が指圧、マッサージ的行為を施すことは医行為あるいはあん摩マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復業ならびに医療類似行為と見なしてよいか。
    ※団体名は一部伏せ字にしてあります。

(昭和四一年九月二六日医事第一○八号)
(佐賀県厚生部長あて厚生省医務局医事課長回答)

 昭和四十一年九月七日医第二○八七号で当局総務課長あて照会のあった標記について、次のとおり回答する。

 医行為又は医業類似行為(広義とする。)であるか否かはその目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何によるものと解すべきである。
照会に係る「整顔整容法」なるものは、貴職の調査結果からは、一応あん摩マッサージ指圧行為であると思料されるが、なお人体に対する作用ないし影響等からみて、医師が行なうのでなければ危害が生ずるおそれがあるものであれば、医行為であるので、更に人体に対する影響等につき十分検討のうえ措置されたい。

○法令適用上の疑義について

照会

(昭和四五年六月二四日)
(医第三七四号)
(厚生省医務局長あて宮城県衛生部長照会)

 次の療法について、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律の適用上疑義が生じたので折返しご教示願います。

  1. カイロプラクチック療法
    この療法は一八九五年米国のダニエル・ダヴィッドパーマーによって創案され、手技により脊椎の不全、脱臼を矯正する方法で脊椎矯正療法ともいわれているが、これを指圧に含めてよいかどうか。
  2. 三稜鍼療法
    三稜鍼又は刺絡器を使用し、皮膚の一部に吸角器をあて瀉血する療法は医業類似行為か医行為のいずれか。

回答

(昭和四五年七月九日)
(医発第七九六号)
(宮城県知事あて厚生省医務局長回答)

 昭和四十五年六月二十四日医第三七四号をもって貴県衛生部長から御照会の標記の件について、次のとおり回答する。

  1. について
    御照会のカイロプラクチック療法は、脊椎の調整を目的とする点において、あん摩、マッサージ又は指圧と区別され、したがって、あん摩、マッサージ又は指圧に含まれないものと解する。
  2. について
    三稜鍼を用いて瀉血を行なうことは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為であって、医行為に相当し、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律に規定するはり業には含まれないものと解する。
    なお、三稜鍼の使用に関する別添(写)の大正十一年三月十七日の大審院判決(抄)を参照されたい。

○あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律および医師法適用上の疑義について

照会

(昭和四五年八月一五日)
(崎防(捜)第二八五号)
(厚生省医事課長あて長崎県警本部長照会)

 管下佐世保警察署管内において、いわゆる「すじ切り治療」と称して次のような施術を行なっているが、法適用上に疑義があるので、貴省の見解を得たく照会する。

  1. 事案の概要
    被疑者は医師でなく、かつ、あんま、マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律に定める免許または除外事由がないのに、昭和四十二年八月頃から昭和四十五年七月頃までの間、佐世保市須佐町十一番二十七号の自宅ならびに佐賀県伊万里市内数か所に出張して、M(六四歳)ら七○名位に対し、神経痛および高血圧治療と称し患者の腰部または背部にきゅうをすえ、同所をわずかに切開して表皮に接した細筋を針で引出して刃物ですじを切るいわゆる「すじ切り治療」と称する治療を施し報酬を受けていたものである。
  2. 具体的施術行為
    一 経穴測定
    同人の施術する「すじ切り治療」の経穴は、高血圧患者の場合は背部に、神経痛患者の場合は腰部に、それぞれ二か所の経穴があるとしている。
    経穴の測定は、背部の場合、細紐を使って患者の肘から拇指の先端までおよび拇指と示指で作った輪の円周を測定して加算し、その長さの計測紐を作って紐の中心を喉仏の下にあてがい、両端は左右の肩から背部に垂らして左右肩甲骨内側に接する部位を経穴とし腰部経穴の場合は、紐は使用せず自己の両手を患者の骨盤上部にあてがい、そこを基点として指で経穴を測定している。
    二 きゅうをすえる意味
    きゅうは、もぐさを小豆大につくり、背部の経穴には各一三回、腰部経穴の場合は各一五回すえているが、このきゅうは、すじきりをする部位の神経を麻痺させ、あるいは止血に役立てるためにすえるものであるという。
    三 すじ切りの方法
    前記きゅうをすえたあとを、西洋かみそりを使って長さ一ミリ位深さ○・五ミリ位に切開し同所の細筋を木綿針でかきあげてそりをあてすじを切るという方法である。
    なお、すじ切り治療したか所は、アルコールで消毒し二~三日入浴を禁ずるよう注意を与えている。
    四 被疑者のいう「すじ切り」の効果
    経穴のすじを切ることによって神経に刺激を与えるため血液の循環を促進することになり、神経痛や高血圧の治療効果があるとしている。
  3. 質疑

前記施術行為は、次のいずれの規定で問擬すべきか。

一 医師法第十七条医業(医行為)の禁止
二 あんま、マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師等に関する法律第一条無免許きゅう業の禁止
三 前同法第十二条医業類似行為業の禁止

回答

(昭和四五年九月二日 医事第一四一号)
(長崎県警本部長あて厚生省医事課長回答)

 昭和四十五年八月十五日崎防(捜)第二八五号で御照会の標記の件について、次のとおり回答する。

 御照会の行為は、当該行為を行なうにあたり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為(医行為)であり、非医師が業としてこれを行なうことは、医師法第十七条の規定に違反するものと解する。

○耳針法による痩身法について

(昭和五三年九月一八日)
(医事第八二号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医務局医事課長通知)

標記の件に関し、宮城県からの照会(別紙(1)に対し、別紙(2))のとおり回答したので通知する。

別紙(1)
(昭和五三年九月一日)
(医第六三一号)
(厚生省医務局医事課長あて宮城県衛生部長照会)

近ごろ、美容研究所の名称で耳針法による痩身法の広告をしているものがありますが、左記の事項について照会します。

  1. 耳針法による痩身法は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律による施術に含まれるものであるかどうか。
  2. 同法による施術に含まれるときは、別添の広告は同法第七条第一項の規定による広告の制限に違反するかどうか、違反するとすれば、その理由をも併せて教示願います。
    〔別添〕
    画像1 (130KB)

別紙(2)
(昭和五三年九月一八日)
(医事第八二号)
(宮城県衛生部長あて厚生省医務局医事課長回答)

昭和五十三年九月一日付医第六三一号をもって照会のあった標記について左記のとおり回答する。

  1. について
    痩身の目的で耳のいわゆるつぼを特定し、当該つぼに対しはり(その長さは問わない)をもって刺激を与えるいわゆる耳針法による痩身法は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)(以下「法」という。)第一条に定めるはりに含まれる。
  2. について
    はり業又はその施術所に関する広告は、法第七条第一項に定める事項に限られており、これ以外の事項を記載した別添広告は同条第一項に違反する。

○広告取締に関する件

(昭和二四年五月一六日)
(医収第五八九号)
(京都府知事あて厚生省医務局長回答)

照会
前略……尚施術所の名称についても接骨院、はり院、きゅう療院、きゅう治療所等、療、院の文字を使用する者があるが之についても併せて御回答願いたい。

回答
……施術所の名称に関しては、はり院、きゅう療院等はり、きゅう等の施術所であることを明示する名称を使用することは差し支えないが、単に「○○療院」「○○治療所」という如き病院又は診療所に紛らわしい名称を附けることは許されない。

※整体については、医療行為ではなく、したがって整体を業とする広告内容については医師法・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律、薬事法などのあらゆる医療関連法規に抵触する表示はできない。

あん摩マッサージ指圧師等の広告に関する関係法規

第七条 あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。

一 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
二 第一条に規定する業務の種類
三 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四 施術日又は施術時間
五 その他厚生労働大臣が指定する事項

② 前項第一号乃至第三号に掲げる事項について広告をする場合にも、その内容は、施術者の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。

柔道整復師の広告に関する関係法規

(広告の制限)
第二十四条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。

一 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
二 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
三 施術日又は施術時間
四 その他厚生労働大臣が指定する事項

② 前項第一号及び第二号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。

薬務局長通知医薬品等適正広告基準

昭和55年10月9日
薬発第1339号 各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知

  1. 概要

1名称関係
許可を受けた販売名以外の名称を使用しないこと。

2 製造方法関係

(1)実際の製造とは異なる表現又はその優秀性について事実に反する認識を与えるおそれのある表現をしないこと。

(2 )優秀性についての運用は、医療用具の製造方法について「最高の技術」、「最も進歩した製造方法」等最大級の表現に類する表現は、その優秀性について事実に反する
認識を得させるおそれがあるので認められない。

(3) 特許に関する虚偽の広告を行った場合、本項に抵触。事実でも下記10に抵触。

(4) 「研究に研究を重ね」等「研究」の表現は、各製造・輸入業者にとって研究していることは当然のことであり、このことを必要以上に強調して表現しないこと。

          • 違反字句等
          • 豊富な経験や技術を基に開発
          • 長い経験から?高度な技術
          • 東洋医学と科学が合致した治療器
          • 最新の情報から生まれた
          • ミクロ技術の結晶
          • 研究に研究を重ねた
          • 特殊な技術
  1. 効能効果、性能及び安全性関係

(1)承認を要する医療用具についての効能効果等の表現の範囲

 ①承認を受けた効能効果等の範囲をこえないこと。また、承認を受けた効能効果等の一部のみを特に強調し、特定疾病に専門に用いられる医療用具以外の医療用具について、特定疾病に専門に用いられるものであるかのような誤認を与える表現しないこと。

②効能効果等の二次的、三次的効果の表現は原則として本項に抵触する。

          • 違反字句等
          • 血行がよくなれば若ハゲに変化
          • 血液の浄化?超短波で仮性近視が治る
          • 不定愁訴などの治療に?血液中のイオン量が増えて自律神経に影響を与え、各部の痛みをほぐします
          • アルカリ性の体質になろう
          • 現代病に
          • 成人病に
          • 慢性病に
          • 公害病に
          • 老化現象に
          • 細胞に活力を与える
          • 体質改善
          • 自然治癒力を高める
          • 全身機能の改善 ?抵抗力を高める

(4) 原材料、形状、椎追及び寸法についての表現の範囲

 医療用具の原材料、形状、構造及び寸法について認識を得させるおそれのある広告をしないこと。

          • 違違反字句等
          • 誤操作の心配のない安全設計
          • 専門家しかできなかったハリが家庭で簡単に
          • 半導体はエレクトロニクスの分野で貴重なものであるが、これを医療用具として生体に応用

(5) 用法用量についての表現の範囲

① 承認を受けた範囲をこえた表現、不正碓な表理を用いて効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告はしないこと。

② 適用年齢あるいは性別によって、制限がないにもかかわらず「中年の男性に」等特定の年齢あるいは性別のみに使用される旨の広告をすることによって当該医療用具の効能効果等に誤認を与える表現をしてはならない。

③ 併用に関する表現は原則として認められない。

④ 安全性関係。いくら使っても副作用がない。使用法を問わず安全である等の表現は認められない。

          • 違反字句等
          • 1日〇分間ほど〇〇を局所にあてるだけ
          • ツボ療法に適する治療器として開発
          • 長く使っても悪い影響は全然ない
          • 自宅で簡単にハリ療法ができる

—原文—

○医薬品等適正広告基準について

(昭和五五年一〇月九日)
(薬発第一三三九号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

 医薬品等による保健衛生上の危害を防止するため、医薬品等の広告については、その内容が虚偽誇大にわたらないようにするとともに、その適正を期するため、従来薬事法及び医薬品等適正広告基準等によつて指導取締りが行われてきたところであるが、今回の薬事法改正及び最近における医薬品等の広告を巡る状況の変化に伴い、今般別紙のとおり医薬品等適正広告基準を全面的に改正したので左記の点に留意し、貴管下関係業者、団体等に対し、周知方御取り計らいのうえ、医薬品等の広告の指導について格段の御配慮を願いたい。

 一 この基準のうち「第三」の「一」から「三」までは、薬事法第六六条第一項の解釈について示したものであり、また「四」から「一五」までは、医薬品等の本質にかんがみ、その広告の適正をはかるため、医薬品等について一般消費者の使用を誤らせ、若しくは乱用を助長させ、或いは信用を損うことがないよう遵守すべき事項を示したものである。

 二 本基準の運用にあたつては、医薬関係者を対象とする広告と一般人を対象とする広告、医薬品広告と化粧品広告等、その広告の性格の違いを勘案し、画一的な取扱いを避けるよう配慮するものとする。

 三 本基準第二「広告を行う者の責務」は、医薬品等の広告を行う者が一般的に留意すべき事項を示した規定である。

 四 昭和五五年九月三〇日現在許可を受けている日本薬局方収載医薬品(薬事法第一四条第一項の厚生大臣の指定する医薬品を除く。)であつて、未だ薬事法第一四条第一項(同法第二三条において準用する場合を含む。)の承認を受けていない医薬品については、薬事法の一部を改正する法律(昭和五四年一〇月法律第五六号)附則第二条の規定に基づき承認を申請したものは承認を与え又は与えない旨の処分が行われるまでの間、その他のものは昭和五六年九月二九日までは、この基準において「承認を要しない医薬品」として取扱うものとする。

別紙

医薬品等適正広告基準

第一(目的)

 この基準は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具(以下「医薬品等」という。)の広告が虚偽、誇大にわたらないようにするとともにその適正を図ることを目的とする。

 第二(広告を行う者の責務)

 医薬品等の広告を行う者は、使用者が当該医薬品等を適正に使用することができるよう、正確な情報の伝達に努めなければならないものとする。

第三(基準)

一 名称関係

 (一) 承認を要する医薬品の名称についての表現の範囲

 薬事法(以下「法」という。)第一四条の規定に基づく承認(法第二三条において準用する場合を含む。以下「承認」という。)を要する医薬品について、承認を受けた販売名、日本薬局方に定められた名称又は一般的名称以外の名称を使用しないものとする。

(二) 承認を要しない医薬品の名称についての表現の範囲

 承認を要しない医薬品については、日本薬局方に定められた名称、一般的名称又は販売名以外の名称を使用しないものとする。
なお、販売名はその医薬品の製造方法、効能効果及び安全性について事実に反する認識を得させるおそれのあるものであつてはならない。

(三) 医薬部外品、化粧品及び医療用具の名称についての表現の範囲

 医薬部外品、化粧品及び医療用具について、承認又は法第一二条、法第一八条(法第二三条において準用する場合を含む。)若しくは法第二二条の規定に基づき許可を受けた販売名又は一般的名称以外の名称を使用しないものとする。

二 製造方法関係

 医薬品等の製造方法について実際の製造方法と異なる表現又はその優秀性について事実に反する認識を得させるおそれのある表現をしないものとする。

三 効能効果、性能及び安全性関係

(一) 承認を要する医薬品等についての効能効果等の表現の範囲

 承認を要する医薬品等の効能効果又は性能(以下「効能効果等」という。)についての表現は、承認を受けた効能効果等の範囲をこえないものとする。
また、承認を受けた効能効果等の一部のみを特に強調し、特定疾病に専門に用いられる医薬品又は医療用具以外の医薬品又は医療用具について、特定疾病に専門に用いられるものであるかの如き誤認を与える表現はしないものとする。

(二) 承認を要しない医薬品及び医療用具についての効能効果等の表現の範囲

 承認を要しない医薬品及び医療用具の効能効果等の表現は、医学薬学上認められている範囲をこえないものとする。

(三) 承認を要しない化粧品についての効能効果の表現の範囲

承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、昭和三六年二月八日薬発第四四号都道府県知事あて薬務局長通知「薬事法の施行について」記「第一」の「三」の「(三)」に定める範囲をこえないものとする。

(四) 医薬品等の成分及びその分量又は本質並びに医療用具の原材料、形状、構造及び寸法についての表現の範囲

 医薬品等の成分及びその分量又は本質並びに医療用具の原材料、形状、構造及び寸法について虚偽の表現、不正確な表現等を用い効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしないものとする。

(五) 用法用量についての表現の範囲

 医薬品等の用法用量について、承認を要する医薬品等にあつては承認を受けた範囲を、承認を要しない医薬品、化粧品及び医療用具にあつては医学薬学上認められている範囲をこえた表現、不正確な表現等を用いて効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告はしないものとする。

(六) 効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止

 医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。

(七) 効能効果等又は安全性についての最大級の表現又はこれに類する表現の禁止

 医薬品等の効能効果等又は安全性について、最大級の表現又はこれに類する表現はしないものとする。

(八) 効能効果の発現程度についての表現の範囲

 医薬品等の速効性、持続性等についての表現は、医学薬学上認められている範囲をこえないものとする。

(九) 本来の効能効果等と認められない表現の禁止

 医薬品等の効能効果等について本来の効能効果等とは認められない効能効果等を表現することにより、その効能効果等を誤認させるおそれのある広告は行わないものとする。

四 医薬品等の過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告の制限

 医薬品等について過量消費又は乱用助長を促すおそれのある広告は行わないものとする。

五 医療用医薬品等の広告の制限

(一) 医師若しくは歯科医師が自ら使用し、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によつて使用することを目的として供給される医薬品については、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとする。

(二) 医師、歯科医師、はり師等医療関係者が自ら使用することを目的として供給される医療用具で、一般人が使用するおそれのないものを除き、一般人が使用した場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのあるものについても(一)と同様にするものとする。

六 一般向広告における効能効果についての表現の制限

 医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、医師又は歯科医師の診断若しくは治療によることなく治癒ができるかの表現は、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告に使用しないものとする。

七 習慣性医薬品の広告に付記し、又は付言すべき事項

 法第五〇条第八号の規定に基づき厚生大臣の指定する医薬品について広告する場合には、習慣性がある旨を付記し、又は付言するものとする。

八 使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項

 使用及び取扱い上の注意を特に換起する必要のある医薬品等について広告する場合は、それらの事項を、又は使用及び取扱い上の注意に留意すべき旨を、付記し又は付言するものとする。
ただし、ネオンサイン、看板等の工作物による広告で製造方法、効能効果等について全くふれない場合はこの限りではない。

九 他社の製品のひぼう広告の制限

医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について、他社の製品をひぼうするような広告は行わないものとする。

一〇 医薬関係者等の推せん

医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告は行わないものとする。ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

一一 懸賞、賞品等による広告の制限

(一) ゆきすぎた懸賞、賞品等射こう心をそそる方法による医薬品等又は企業の広告は行わないものとする。

(二) 懸賞、賞品として医薬品を授与する旨の広告は原則として行わないものとする。

(三) 医薬品等の容器、被包等と引換えに医薬品を授与する旨の広告は行わないものとする。

一二 不快、不安等の感じを与える表現の制限

 不快又は不安恐怖の感じを与えるおそれのある表現を用いた医薬品等の広告は行わないものとする。

一二の二 不快、迷惑等の感じを与える広告方法の制限

 医薬品等について広告を受けた者に、不快や迷惑等の感じを与えるような広告は行わないものとする。

特に、電子メールによる広告を行う際は、次の方法によるものとする。

(一) 医薬品販売業者等の電子メールアドレス等の連絡先を表示すること。

(二) 消費者の請求又は承諾を得ずに一方的に電子メールにより医薬品等の広告を送る場合、メールの件名欄に広告である旨を表示すること。

(三) 消費者が、今後電子メールによる医薬品等の広告の受け取りを希望しない場合、その旨の意思を表示するための方法を表示するとともに、意思表示を示した者に対しては、電子メールによる広告の提供を行ってはならないこと。

一三 テレビ、ラジオの提供番組等における広告の取扱い

(一) テレビ、ラジオの提供番組又は映画演劇等において出演者が特定の医薬品等の品質、効能効果等、安全性その他について言及し、又は暗示する行為をしないものとする。

(二) テレビ、ラジオの子供向け提供番組における広告については、医薬品等について誤つた認識を与えないよう特に注意するものとする。

一四 医薬品の化粧品的若しくは食品的用法又は医療用具の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限

 医薬品について化粧品的若しくは食品的用法を又は医療用具について美容器具的若しくは健康器具的用法を強調することによつて消費者の安易な使用を助長するような広告は行わないものとする。

一五 医薬品等の品位の保持等

 前各号に定めるもののほか、医薬品等の本質にかんがみ、著しく品位を損ない、若しくは信用を傷つけるおそれのある広告は行わないものとする。

○医薬品等適正広告基準について

(昭和五五年一〇月九日)
(薬監第一二一号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課長通知)

 標記については、昭和五五年一〇月九日薬発第一三三九号薬務局長通知をもつて通知されたところであるが、この基準のうち第三(基準)の運用に当たり留意すべき事項は左記のとおりであるので、御了知のうえ貴管下関係業者、団体等に対し周知徹底を図られたい。

  1. 「1 名称関係」について

広告の前後の関係等から総合的にみて医薬品等の同一性を誤認させるおそれがない場合において、販売名についてさらに略称又は愛称を使用することは差し支えないものとする。
また、形状、構造又は寸法の異なるものについて一品目として承認又は許可を受けた医療用具にあつては、承認書又は日本工業規格に記載された個々の型式名又は種類名を名称として使用することは差し支えないものとする。

  1. 安全性関係について

(1) 基準「3―(4)」は、「天然成分を使用しているので副作用がない」、「誤操作の心配のない安全設計」等のような表現を認めない趣旨である。

(2) 「3―(5)」は、「いくらのんでも副作用がない」、「使用法を問わず安全である」等のような表現を認めない趣旨である。

(3) 「3―(6)」は、「安全性は確認済」、「副作用の心配がない」等のような表現を認めない趣旨である。

(4) 「3―(7)」は、「比類なき安全性」、「絶対安全」等のような表現を認めない趣旨である。

  1. 「5 医療用医薬品等の広告の制限」について

(1) 「医薬関係者以外の一般人を対象とする広告」とは、医事又は薬事に関する記事を掲載する医薬関係者向けの新聞又は雑誌による場合、その他主として医薬関係者を対象として行う場合(プロパーによる説明、ダイレクトメール、若しくは文献及び説明書等の印刷物(カレンダー、ポスター等医薬関係者以外の者の目につくおそれの多いものを除く。)による場合又は主として医薬関係者が参集する学会、講演会、説明会等による場合)以外の広告をいう。

(2) 基準「5―(2)」に該当する医療用具としては、原理及び構造が家庭用電気治療器に類似する理学診療用器具等がある。

  1. 「6 一般向広告における効能効果についての表現の制限」について

「医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患」とは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、糖尿病、高血圧、低血圧、心臓病、肝炎、白内障、性病など一般大衆が自己の判断で使用した場合、保健衛生上重大な結果を招くおそれのある疾病をいうものとする。

  1. 「8 使用及び取扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、又は付言すべき事項」について

使用及び取扱い上の注意を特に喚起する必要のある医薬品等の範囲は、おおむね以下のとおりとする。

(1) 医師若しくは歯科医師が自ら使用し、又はこれらの者の処方せん若しくは指示によつて使用することを目的として供給される医薬品であつて、添付文書等に使用上の注意の記載が必要なもの

(2) (1)以外の医薬品であつて、薬務局長通知により使用上の注意事項が定められたもの及び承認の際の条件として使用上の注意を記載するよう定められたもの

(3) 医薬部外品のうち次に掲げるもの

ア 殺虫剤(蚊取り線香を除く)
イ 染毛剤
ウ パーマネントウエーブ用剤

  1. 「10 医薬関係者等の推せん」について

本項ただし書きの「特別の場合」とは、市町村がそ族昆虫駆除事業を行うに際し特定の殺虫剤等の使用を住民に推せんする場合、である。
なお、本項は美容師等が店頭販売において化粧法の実演を行う場合等を禁ずる趣旨ではない。

  1. 「14 医薬品の化粧品若しくは食品的用法又は医療用具の美容器具的若しくは健康器具的用法についての表現の制限」について

「健康器具的用法」とはバイブレーター又は家庭用電気治療器を運動不足の解消のために用いる用法等をいう。

資料10 アロマセラピーについて

アロマセラピー(アロマテラピーとも発音する)を行うにあたり、以下の法規を十分に理解し、違法行為の無いように注意しなければならない。

  • 医師法
    第17条医師でなければ、医業をなしてはならない。
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律
    第1条 医師以外の者で、あん摩、マッサージ若しくは指圧、鍼又は灸を業としようとする者はそれぞれ、あん摩マッサー指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならない
    第12条 何人も、第1条に掲げる者を除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法の定めるところによる
    第4条 施術者は、外科的手術を行い、又は薬を投与し、若しくはその指示をする
    などの行為をしてはならない。
  • 薬事法
    第4章 第12条(製造業の許可)
    医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造業の許可を受けたものでなければ、それぞれ、業として医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造(小分けを含む)をしてはならない
    〔解説〕 第12条の「業として」とは、対象者が同じ行為を反復継続の意思を持って行った場合や、社会通念上事業を行っていると判定されることを指します。
  • 製造物責任法(PL法)
    〔解説〕 この法律の基本的な考え方は、消費者の保護と救済です。製造物の欠陥により被害が生じた場合、その製造業者などに損害賠償責任が生じるというものです。精油などについては当然この法律が適用され、製造者、輸入業者は製造責任を負うことになります
  • 消防関連法「危険物の規制に関する政令」
    〔解説〕 精油は揮発性物質であり、引火する可能性の高いものです。通常、 自分で保管する場合でも取扱いには充分な注意が必要です

資料11 まつ毛エクステについて

独立行政法人•国民生活センターは、平成2 2年2月17日に、まつ毛エクステンシ ョンの危害情報をまとめ、事故の未然防止と拡大防止のために公表しました。
まつ毛エクステンションは、平成2 0年3月7日、東京都公表の危害状況を受けて、 厚生労働省から各自治体の衛生主管部宛てに通知「まつ毛エクステンションによる危害 防止の徹底について」が出されましたが、その後も危害相談が増加。通知後にも1〇 〇 件以上の相談が寄せられていました。こうした状況の中、事故の未然防止•拡大防止を 目的に行政機関・関係団体に要望するとともに情報提供となりました。

  • 事業者への要望として次のことが通知されています。
    1. まつ毛の施術は美容所としての届け出と美容師資格がなければしてはいけない。
    2. まつ毛エクステに関する知識や技術の向上が必要である。
      まつ毛エクステを行うには、取り扱う接着剤などの素材や、目や目元の人体について など、さまざまな知識と高度な技術が必要です。美容師資格を持っていてもこれらの知 識や技術的な訓練を受けていなければ危害は生じやすくなります。危害の防止のため知 識や技術の向上を計らなければなりません。
    3. サービス提供事業者としての対応を整備すること。
      トラブル発生時の対応がずさんな店舗も多いようです。まつ毛エクステはその部位や 施術の内容から危害が生じやすいので、それらを想定した事業者としての対応を、責任を持って整備すべきです。
  • 行政の対応として次のように要望しています。
    • 厚生労働省の通知が発信された後もまつ毛エクステの施術による危害の相談は増えている。中には美容師法に抵触しているおそれのある例も見られる。
    • 危害の未然防止・拡大防止のため、関係機関等により適切な対応が行われるよう要望する。

※要望先
〇消費者庁消費者情報課地方協力室

※情報提供先
〇厚生労働省健康局生活衛生課
〇経済産業省商務情報政策局サービス産業課
〇日本眼科学会
〇全日本美容業生活衛生同業組合連合会
〇財団法人日本エステティック研究財団
〇日本エステティック振興協議会
〇一般社団法人日本全身美容協会

●消費者庁は、まつ毛エクステンションに関する安全性の確保について厚生労働省に以 下のように要請しました。

〇消費者庁は、近年、まつ毛エクステによるまぶたや目などの健康被害に関する相談 事例が国民生活センター等に増加しており、また同センターが取りまとめ危害事例 の分析結果等を受けて、まつ毛エクステに関する安全性の確保策を講じるよう、消 費者庁政策調整課長名で厚生労働省健康局政界衛生課長宛てに要請しました(以下 概要)。
〇まつ毛エクステンションに係る安全性の確保について

  1. まつ毛エクステンションを行っている美容所等への監視指導を強化するとともに 美容師法に抵触する営業者及び施術者に対して適切な措置を講じるよう、監督権限 を有する都道府県等に要請すること
  2. 今般の独立行政法人国民生活センターの公表資料に示された危害状況等を広く国 民に周知するとともに、危害防止の徹底を営業者に周知するなど、施術の安全性の 確保に係る施策を推進すること

資料:「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」

〇平成20年3月7日健衛発第。 307001号
〇各都道府県•各政令市•各特別区衛生主管部(局)長あて
〇厚生労働省健康局生活衛生課長通知
〇「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」
〇内容

今般、東京都生活文化スポーン局消費生活部長より、別紙のとおり、近年のまつ毛エ クステンションの流行に合わせて、消費生活センター等へ寄せられる危害に関する相談 件数が増加し、まつ毛エクステンション用の接着剤による健康被害がみられるとの情報 提供がされたところである。
貴職におかれては、管下の美容所等において、かかる行為により事故等のおこること のないよう営業者等に対し周知徹底を図るとともに、本職通知の趣旨に基づき、美容業 務の適正な実施の確保を図られるよう、特段の御配慮をお願いする。
なお、美容師法第2条第1項の規定において、美容とは「パーマネント・ウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすることをいう」とされており、通常首から上の容姿を美しくすることと解されているところである。ここでいう「首から上の容姿を美しくする」ために用いられる方法は、美容技術の進歩や利用者の嗜好により様々に変化するため、個々の営業方法や施術の実態に照らして、それに該当するか否かを判断すべきであるが、いわゆるまつ毛エクステンションについては、

  1. 「パーマネント・ウェーブ用剤の目的外使用について」(平成16年9月8日健衛発第 908001号、厚生労働省健康局生活衛生課長通知)において、まつ毛に 係る施術を美容行為と位置付けた上で適正な実施の確保を図ることとしていること
  2. 「美容師法の疑義について」(平成15年7月30日大健福第1922号、大阪市 健康福祉局健康推進部長照会に対する、平成15年10月2日健衛発第1002001号厚生労働省健康局生活衛生課長回答)において、いわゆるエクステンション は美容師法にいう美容に該当するとされていることから、当該行為は美容師法に基 づく美容に該当するものであることを申し添える。

資料:「まつ毛エクステンションの危害」

〇平成22年2月17日 独立行政法人国民生活センターが発表した内容

厚生労働省は2008年3月に、東京都公表のまつ毛エクステンション(以下、「まつ毛エクステ」)に関する危害状況を受けて危害防止の徹底をはかる通知文書を出したが、その後もまつ毛エクステに関する危害の相談は増加している。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた相談は、2004年度以降156件となっている(2010年2月5日現在)。このうち100件以上は、通知が出された後に寄せられた相談である。
厚生労働省はまつ毛に関する施術を美容行為と位置づけているが、まつ毛エクステは美容院だけでなく、エステ店やネイルサロン、さらに最近はまつ毛エクステ専門のサロンでも行われている。これらの店舗で美容師が施術しているかどうかは定かでない。
目元というデリケートな部分に行うまつ毛への施術は、接着剤や器具の刺激、また施術者の技術によって特に危害が発生しやすいため、細心の注意が必要である。
そこで、被害の未然防止•拡大防止のため、まつ毛エクステの危害について最近の状況を情報提供する。

    1. まつ毛エクステンションとは
      シルクや化学繊維などの人工毛を専用の接着剤でまつ毛につけ、まつ毛を長くしたり 濃くするなど、ボリュームアップする手法。本数や長さ、カールのタイプ、色などを自 分の好みで選べる。最近は人工毛を1本!本まつ毛につける手法が主流となっている。 扱い方やまつ毛の状態により個人差はあるが、3〜4週間でつけ直すのが一般的である。
    2. 相談者の概要
      PIO-NETに相談が寄せられたまつ毛エクステに関する危害•危険!5 6件のうち、実 際に何らかの危害を受けているものは154件である。

      1. 年度別件数の推移
        156件の年度別件数の推移は、
        2004年度2件、2005年度7件、2006年度11件、
        2007年度36件、2008年度50件、2009年度50件である。
      2. 相談者の属性
        155件が女性(不明1件)で男性はいなかった。
        年齢は、10歳代 1件、20歳代71件、30歳代45件、
        40歳代20件、50歳代 5件、60歳代 2件、不明12件
      3. 危害部位
        危害の部位は、「眼」145件、「顔面」7件、その他2件
      4. 危害内容
        危害の内容でもっとも多いのは、
        「その他の傷病及び諸症状」93件、「皮膚障害」45件、
        「感覚機能の低下」7件、「刺傷•切傷」5件、「熱傷」2件、
        「擦過傷・挫傷・打撲症」1件、不明1件
        ※「その他の傷病及び諸症状」の具体的な症状は、眼の充血や痛み、炎症や アレルギーなどが多い。
      5. 危害程度
        危害の程度は、
        「治療1週間未満」33件、「1〜2週間」28件、「3週間〜1ヶ月」4件、
        「1ヶ月以上」4件、「医者にかからず」32件、「不明」53件
    3. 主な事例
      【事例1】
      まつ毛エクステをした日の夜から目が痛くなり、涙が止まらなくなったので救急で眼科に行くと、角膜全体に傷がついている、接着剤が原因ではないか、しばらく通院が必要と言われた。翌日店舗に事情を話したが対応が悪い。1ヶ月半ごとに通っていたが今までこのようなことはなかった。
      (2009年11月受付、東京都・30歳代・給与生活者)【事例2】
      通っているネイルサロンでまつ毛エクステをしたが、ここ数回目が痛くなる。サロンで軟膏をくれたが、効かないので眼科で診てもらったら、薬剤で腫れが発生していると言われた。店に苦情を言うと、アレルギー体質だと言われたが、他の客の苦情にもそう言っているようだ。美容師の資格もないらしい。
      (2009年11月受付、滋賀県•2〇歳代•無職)【事例3】
      無料情報誌を見て行ったまつ毛エクステ。施術の翌日に取れてしまったので店に申し出たところ、リムーバーで除去されてまつ毛が抜けてしまい、まぶたが腫れてしまった。病院へは行かなかったがしばらくまぶたがかぶれ、まつ毛は半年たってやっと3ミリほどに生えてきた。店が対応してくれない。
      (2009年10月受付、福岡県•40歳代•家事従事者)【事例4】
      エステサロンでまつ毛エクステをしたらまぶたが腫れた。店に申し出ると、治療を受けて診断書を出せば治療費を支払うと言われたので、治療を受け、アレルギー反応であるとの診断書を提出した。その後、店舗側はグルー(接着剤)の合う合わないは顧客の状態によるからと言い出し、対応してくれなくなった。
      (2009年9月受付、大阪府•20歳代•給与生活者)【事例5]
      まつ毛エクステの施術途中から目が痛くなり、開けていられない状態になった。翌日眼科に行ったところ、角膜に傷がついており結膜炎にもなっていると診断された。コンタクトレンズも使っているので1〇〇%エクステが原因かどうかは断言できないが、可能性があると言われた。店に申し出たらクレーマー扱いされた。
      (2009年8月受付、埼玉県•20歳代•給与生活者)【事例6】
      まつ毛エクステの施術中、痛いと言ったら接着剤を変えれば大丈夫かもしれないと言われ変えたが、痛かったので途中でやめて帰った。その後も充血が取れないので店に申し出、責任者と話したいと伝えたが応じてもらえず、承諾書に記入し署名もあるので卜ラブルがあっても対応しないと言われた。
      (2009年5月受付、東京都•20歳代•家事従事者)
    4. 危害事例にみられるまつ毛エクステの問題点
      1. 美容師の資格を持たない者が施術している
        まつ毛の施術には美容師資格が必要であるが、事例には美容師資格を持っていない人が施術していると思われるケースがみられる。
      2. 目元の施術であることや接着剤の使用など危害が生じる要素が多い
        まつ毛を加工したり目元で化学物質を使う施術は、目に不要な刺激を与えたり目の危害に直結する危険がある。
        エクステ用の接着剤の正確な成分は不明だが、瞬間接着剤と同じシアノアクリレート系が主だと思われる。シアノアクリレート系の接着剤は接着速度が早いが、人体ともよく接着するうえ、皮膚につくとやけどの危険性もある。
        まつ毛エクステの施術には、目やまつ毛に関する知識や、高度な技術と細心の注意が必要である。
      3. トラブル時の対応に問題のある店舗が見られる
        危害が生じたことを店舗に申し出ても、責任者が対応しなかったり、アレルギー体質によると決めつけて責任を認めなかったり、同意書や念書へのサインを理由にー切対応しないなど、サービスを提供する事業者として対応に疑問が持たれる店舗もある。
    5. 専門家の助言梶田眼科院長医学博士梶田雅義氏まつ毛エクステをしたあとで目のトラブルを訴える症例は、以前は月に1〜2件であったが、最近は週に1〜2件は見るようになった。年齢も幅広く、ほとんどの患者が、痛みやひりひり感、充血がひかないといった症状で訪れる。接着剤や他の薬剤が目に入り傷がついた例や、人工まつ毛が目の方向に向いてついてしまっている例、中には人工まつ毛が角膜に刺さっていた例もある。まつ毛エクステを行って1〜2週間くらいたってから症状が現れることもある。自分のまつ毛が伸びて、その先に人工まつ毛がついているので、重みでまつ毛が垂れてきてそれが角膜に触れてしまったり、接着剤の固まりがまぶたの裏にはりついたりして角膜を傷つけてしまったのが原因である。
      まぶたやまつ毛は汚れや細菌から目を防御するために機能している。人工まつ毛をつけていると、目元をきちんと洗いにくくなるので、目元を清潔に保つことが難しくなる。その結果、ものもらいなどができやすくなるうえ、できてしまったときに治療の妨げになる。
      眼科医としては、目の病気を防止するためにも目元は清潔にしておくことを勧める。
      まつ毛エクステをしたい場合は、継続してつけておかず、まつ毛を休め、目元を清潔に保持できる期間を作ることが大事である。また、少しでも異常を感じたらすぐに眼科を受診するべきである。小さな傷であっても、放っておけば細菌などが入り、炎症や潰瘍かいようなどになる場合がある。角膜潰瘍は治療が遅れれば視力の低下を招くこともある。
    6. 消費者へのアドバイス
      1. まつ毛エクステの施術は目への危険が懸念される
        目及び目元は、皮膚が薄く粘膜と接しているので非常にデリケートな部分である。まつ毛エクステは、その粘膜に接して生えているまつ毛に人工毛を瞬間接着剤等で接着する施術である。接着剤などの化学物質を目の近くで使うこと、異物を貼りつけること、目元で細かな長時間の作業を行うことなど、目には危険や負担を伴う行為である。危険性を理解し実施するかどうかよく考えよう。
      2. 問題が発生したらただちに診察を受け、まつ毛エクステを行ったことを告げよう
        医師の診察を受けても、症状だけでは原因がわからず、医師も単に原因不明の結膜炎やアレルギーとして投薬治療で終わることもある。まつ毛エクステが原因と思われる場合は、施術をしたことをきちんと告げて診察をしてもらおう。
      3. まつ毛厚生労働省では、まつ毛の施術は美容師法上の美容であると位置づけている。まつ毛エクステで危害を受けたり、美容師ではない人が施術をしていると思われたら、消費生活センターへ相談の上、地域の保健所や衛生担当部署等へ情報提供しよう。エクステの施術で危害を受けたら情報提供をしよう
    7. 事業者への要望
        1. まつ毛の施術は美容所としての届け出と美容師の資格がなければしてはいけない
          厚生労働省から2008年3月7日付けで「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」という通知が各自治体の衛生主管部宛に出されている。それによると、まつ毛エクステは美容師法に基づく美容に該当すると明言されている。施術は美容所の届け出のある施設で美容師の有資格者でなければしてはいけない。
        2. まつ毛エクステに関する知識や技術の向上が必要である
          まつ毛エクステを行うには、取り扱う接着剤などの素材や、目や目元の人体についてなど、さまざまな知識と高度な技術が必要である。美容師資格を持っていてもこれらの知識や技術的な訓練を受けていなければ危害は生じやすい。危害の防止のため知識や技術の向上を求める。
        3. サービス提供事業者としての対応を整備すること
          トラブル発生時の対応がずさんな店舗も多い。まつ毛エクステはその部位や施術の内容から危害が生じやすいので、それらを想定した事業者としての対応を、責任をもって整備するべきである。